藤井正弘の血統トピック

カミノタサハラはサイレンススズカ級の変異種

[ 2013年3月6日 06:00 ]

 “2強”の共倒れで幕を開けた今年の牡馬クラシック戦線。もっとも、エピファネイアとコディーノのチューニングがトライアル仕様だったのは、8キロ増で歩調を合わせた馬体からも明らかで、馬券の対象から外れてしまった前者には、主戦の騎乗停止による代打騎乗というハンデもあった。初の2000メートルで折り合い最優先の試走に徹した後者ともども、ある意味で想定内の負け方。同じコースの本番でパフォーマンスを上げてくるのは間違いない。

 種牡馬ディープインパクトが第3世代の重賞未勝利にピリオドを打ったのも想定内といえば想定内。0秒1差に5頭がひしめく大接戦を制したカミノタサハラは、2歳上のレパードS勝ち馬ボレアス、1歳上の毎日杯2着馬マウントシャスタと、全兄に2頭のオープン馬がいる血統の真価を初の重賞ステージで発揮した形だ。道中の手応えは決して良くないのだが、追えば追うほど伸びる末脚からは、従来のディープインパクト産駒とは一線を画す骨太のステイヤー属性が見て取れる。皐月賞以上にダービーに向くタイプだろう。 

 今年のディープインパクト同様、2歳重賞と縁がなかったサンデーサイレンスの第3世代からは、最終的にサイレンススズカ、ステイゴールドという2大個性派が現れた。供用3年目は良くも悪くもイレギュラーなDNAが活性化するタイミングなのかもしれない。カミノタサハラもまた、サイレンススズカ的な“変異種”である可能性大だ。(サラブレッド血統センター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る