藤井正弘の血統トピック

「高齢出産」の長距離激走法則

[ 2012年2月22日 06:00 ]

 大本命トランセンドが馬群に沈み、7番人気テスタマッタが鮮やかに抜け出したフェブラリーS。実は先週の当コラムで逆説的ながら有力、と指摘した「フェブラリーS実績のない種牡馬の産駒」としてイメージしていたのがワンダーアキュートとテスタマッタだった。「連覇なし」「2勝サイヤーなし」のジンクスに乗るべきか否かを逡巡(しゅんじゅん)していたため馬名は挙げずにおいたのだが、結局、週末の予想でもトランセンドの「史上初尽くし」に傾いてしまったのだから何とも詰めが甘い。ジンクスの裏に潜む血統的経験則を信じるべきだったと悔やんでいる。

 血統的経験則といえば記録的大穴(単勝1万9000円)となった先週土曜のダイヤモンドS、ケイアイドウソジンにも買い材料はあった。同馬は85年生まれの母ブリーダーズフライトが21歳という異例の高齢で産んだ子だったからだ。

 母馬年齢が20歳を超える国産重賞ウイナーは、84年のグレード制導入後では過去5頭しかいなかったのだが、そのうちの1頭が母シンミスアンサーの21歳時の産駒マキハタサイボーグ。くしくも今回と同じ吉田豊騎手の手綱で重賞初制覇を果たした07年のスポニチ賞ステイヤーズSは単勝5070円の大穴だった。ちなみに母馬年齢23歳(サンウーマン)という最高齢記録のゴールドプルーフもダート2300メートルの東海Sで単勝5250円という好配当を叩き出していた。「マル高出産」の子は長距離戦での一発に要注意、なのである。(サラブレッド血統センター)

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