キダ・タローさんは「普段は磊落だが、こと作曲は細やか」作詞家・もず唱平氏が明かす素顔

[ 2024年5月17日 05:15 ]

「兵衛向陽閣」のレコーディングに臨んだ際のキダ・タローさん(右)と、もず唱平(2018年)
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 「浪花のモーツァルト」の愛称で親しまれた作曲家のキダ・タロー(本名木田太良=きだ・たろう)さんが14日に93歳で亡くなったことが伝わってから一夜明けた16日、キダさんが長年出演したABCテレビ「探偵!ナイトスクープ」で共演した西田敏行(76)ら親交のあった仲間たちが追悼した。所属事務所代表で歌手の円広志(70)は、来月にコンサートで共演する約束をしていたことを明かした。

 キダさんの生涯作曲数は本人も把握しておらず、5000曲とも言われる。「傍観者でなく当事者の心になると馬力も出る」と、依頼主の立場に立った曲作りが信条だった。よく共作した作詞家・もず唱平氏(85)は「普段は磊落(らいらく)だが、こと作曲は細やか」と振り返る。

 もず氏の歌詞を確認後、キダさんは「主人公の名前は?住んでる所?職業?」と問うた。「そんな質問してきたのは彼だけ。具体的にイメージできないと作らない」姿勢に驚いた。言葉のイントネーションに沿うメロディーで、標準語も大阪弁も自然に聞こえる。「作詞家には信頼できる作曲家でした」

 「浪花のモーツァルト」は「繊細で情熱的なショパンが好き」だった。確かにキダさんも繊細な配慮と情熱をもって、歌詞も耳に残る名曲を残した。

 もず氏は3月26日、「タイガース音頭」(76年)の朗報を伝えるためキダさんに電話した。大の虎党で朝日放送アナだった故中村鋭一さんのため、実は近鉄ファンだったキダさんと共作。ヒットしなかった力作を、もず氏の提案で演歌歌手・浅田あつこ(52)が今秋発売予定のアルバムで歌うことになったと報告した。

 キダさんは「ワハハ~」と大喜び。電話の声には張りがあった。それから2カ月足らずでの訃報。もず氏は驚きを隠せず「残念…寂しい」と涙を流した。

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