球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

早くも乱戦!?弱者優位のドラフトに金満球団不満の声

[ 2016年2月7日 05:30 ]

 選手会や一部球団が指摘していた「勝たないチームづくり」が球界全体の議論の場に持ち出されそうだ。実力不足の選手だけを大リーグ登録して順位を下げ、成績逆順指名のドラフトの上位指名で有望アマ選手を獲得する作戦だ。アストロズの成功で成績のいい金満球団が「規則悪用ではないか」と言い始めたという。

 ア軍は09年から14年まで6年連続負け越した。そのうち3度が100敗を超えた。経営体制が新オーナーに代わりナ・リーグからア・リーグに移された13年は凄かった。年俸100万ドル(約1億2000万円)以上の選手のほとんどを放出した。これで3年連続最下位を“確保”し、史上初の3年連続ドラフト指名順1位球団となった。上位指名権狙いの「勝たないためのロースター(登録選手)」と非難されたが、集めた若い戦力が昨季ブレークした。ポストシーズンに進出しワイルドカード対決でヤンキースに勝ち、地区シリーズではロイヤルズに敗れたが、強豪チームの土台は固まった。ア軍にすれば年月をかけた忍耐のチームづくりのたまものだ。

 1月のオーナー会議では、「ドラフト改革」の声が金満球団から出たそうだ。ドラフトでは、球団によって使える契約金に制限がついている。仕組みは複雑だが、簡単に言えば弱者救済だ。金満球団の契約金総額は抑えられ、弱小球団は緩くして有望アマ選手を獲得しやすくしている。「その契約金も利益分配制度で我々の財布から出たもの」と金満球団。漏れてくる改革案は、同じ球団の連続1位指名は避ける、球団による契約金総額の差を縮める、指名順位は抽選で決める…など。代理人からは「契約金に制限があるのがおかしい」との声も出て早くも乱戦模様だ。(野次馬)

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