球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

殿堂入りスモルツ氏 少年期練習法に持論

[ 2015年8月2日 05:30 ]

 先週の殿堂入りセレモニーは盛況だった。人口2000人のクーパーズタウンに4万5000人ものファンが集まった。新たな4人の殿堂入りの中で異色のスピーチをしたのがジョン・スモルツ氏(48)だ。先発で13年、クローザーに転じて4年、さらに先発に戻り4年、通算213勝154セーブ。抑えに回ったのは、じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)をしたためだ。手術を受けた選手の殿堂入りは内野手のポール・モリター(現ツインズ監督)がいるが、投手ではスモルツ氏が初めてだった。

 かつらをかぶって登場したスモルツ氏は「もう、はげ頭とは言わせない」と聴衆を笑わせてから、一転、かつらをとってファンの子供たちとその両親、少年野球のコーチたちに向けて言った。「野球は一年中やるスポーツではない。子供たちは肘のじん帯が完全に育つまでは、野球だけでなく、あらゆるスポーツをしてバランスのとれた体をつくるべきだ」。自分の苦しい体験から出たアドバイス。「少年期の腕の鍛錬は、スロー(軽いキャッチボール)を十分にやることだ。ピッチ(投球)をやり過ぎないこと。今は子供たちに試合で投げさせ過ぎている。その負担が大リーグに入って表面化する。投球数制限をしているが、見合った球数は個人差がある。今のやり方がベストでないのは、トミー・ジョン手術をする投手の増加に表れている。マイナー時代はスロー重視の練習がいいのでは…」。

 大リーグ機構(MLB)の調査では00年から今季まで、手術を受けた選手は276人。そのうち26人が2度、3人が3度、手術を繰り返した。昨季は過去最高の44人、今季は5月末で13人。対策は待ったなしになっている。 (野次馬)

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