球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

十分なネット保護ができない各球団の裏事情とは

[ 2015年6月28日 05:30 ]

 カージナルス球団関係者が、アストロズのデータ網に不正アクセスし機密情報を盗んでいた、と報じられてから間もなく2週間。連邦捜査局(FBI)は、カ軍キャンプ施設のコンピューターの使用を突き止め容疑者を4人に絞った、との続報後、動きは止まっている。

 実は、カ軍は2月から内部調査を続け、FBIに協力していた。ビル・デウィット・オーナーは「説明責任を果たす」と明言しているのだが、延長戦になった捜査に打つ手がない。「ハッキング容疑どころか幼児ポルノ容疑のような汚点」と、フロント幹部は嘆いた。

 メディアは、カ軍への処分を予想する。MLBは、球団間の法廷闘争を禁じている。コミッショナーに問題解決をゆだねるのだ。デウィット・オーナーはコミッショナー直属の「最高執行委員会」の委員長。「辞任あるいは解任は免れない」と1紙が書けば、「MLBで定める最高罰金200万ドル(約2億4800万円)」「ドラフト指名権の剥奪」、ついには「ポストシーズン試合出場停止」とまでエスカレートした。

 カ軍はこの10年間にポストシーズンに7度進出し、3度戦ったワールドシリーズに2度勝っている。今季も圧倒的な強さで勝ち進む。被害球団アストロズは6年連続負け越しだが、今季はア・リーグ西地区の首位を走る。「ワールドシリーズで対戦すれば遺恨試合で面白い」というファンの声も飛び交って、結末はどうなることやら…。

 分かったのは球団のネット保護のお粗末さだ。選手年俸高騰でどの球団もフロントの給与が上げられない。そのため優秀なIT技術者を雇えないのだという。華やかな球場の情けない舞台裏にあ然とする。 (野次馬)

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