球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

Aロッドにまた火種?記録本塁打ボーナスの是非とは

[ 2015年5月17日 05:30 ]

 ヤンキースのアレックス・ロドリゲスが1日のレッドソックス戦で田沢から通算660号本塁打を放ってから2週間が過ぎた。ウィリー・メイズに並んで歴代4位となる一発だったが、ブライアン・キャッシュマンGMは「ボーナスは払わない」と明言した。“記録本塁打ボーナス”は600万ドル(約7億1400万円)。仮にヤンキースがこれを払うと、年俸総額が一定の上限を超えた球団がペナルティーとして支払うぜいたく税(課徴金)の300万ドル(約3億5700万円)が生じる。だから、球団は断固ノーなのだ。

 実はこの種の記録達成によるボーナス契約は禁止されている。記録に迫った選手の出場強要、球団による出場外しが起きかねないためだ。ヤンキースとロドリゲスは、選手契約とは別のマーケティング(販促)契約をつくり“記録本塁打ボーナス”を織り込んだ。抜け穴を突いた契約だが、球団は「禁止薬物を使用した記録に販促力なし、支払う義務はない」と説明した。

 だが、絶好の話題に各メディアは弁護士、大学のスポーツビジネスの教授などに支払い拒否の当否を問い合わせた。専門家たちの指摘は、記録本塁打が「商品として売れたかどうか」だが、入場券販売数、関連グッズの売れ行き、テレビ中継の視聴率の動向、ヒール(悪役)人気がある一方で最初から記録本塁打を売る気のない球団の姿勢の問題は…と混乱する。不気味なのはロドリゲス側の沈黙だ。昨季の出場停止騒動時の弁護団は一部を残して解散、弁護費用の未払いも報じられた。態勢を立て直し、ボーナス闘争は月末かららしい。

 ロドリゲスは現在9本塁打で通算663本。次のボーナス対象ベーブ・ルースの714号に向かう。今季も大騒動の期待は十分だ。 (野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る