球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

手術せずPRP療法選んだ田中は正しかったのか

[ 2015年3月22日 05:30 ]

 開幕目前の最大の話題が、じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受ける投手たちの激増だ。「幼稚園に集まる子供のように手術室に投手が集まっている」と書いた新聞もある。メッツはここ4年で9人の投手が同手術に関わり、「投手管理に問題あり」とするメディアとサンディ・アルダーソンGMがもめている。痛めたじん帯を切除し、他の部位から取った正常な腱を移植するのが同手術だが、あらためて話題になるのはレンジャーズ・ダルビッシュとヤンキース・田中で対応が分かれたため。

 レ軍はダルビッシュの手術で今季のプレーオフ進出が厳しくなった。ヤ軍も手術を回避し、保存療法であるPRP(多血小板血しょう)療法を選択した田中が肘痛を再発したら終わり、その可能性は大と米メディアは注視する。フィリーズのビリンズリがドジャース時代の2012年に田中と同じ治療法を選択し、翌年にマウンドに戻ったが、わずか2試合で故障再発、手術した例を突きつける。トミー・ジョン手術後、故障前の状態に戻った投手は70~80%とは大リーグ機構の概算。全米スポーツ医学協会も「手術を受けた投手の19%がさらに何らかの治療を必要」としている、とニューヨーク・タイムズ紙は伝える。

 そもそも手術第1号、トミー・ジョンが手術2回だった。ド軍、ヤ軍などで288勝を挙げ、そのうち164勝が手術後で大成功例とされる。同手術の考案者、フランク・ジョーブ博士のジョンへの手術は74年9月25日に行われたが、指の感覚がなくなり同年12月17日に再手術。初めから難しい手術だったのだ。第2の選択肢を選んだ田中を気遣ってジョー・ジラルディ監督は「中5日空ける先発6人ローテーションも考える」と言いだした。 (野次馬)

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