球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

NY各紙がジャイアンツ称賛する裏に…

[ 2014年11月2日 05:30 ]

 ジャイアンツはここ5年でワールドシリーズを3度制覇した。この強豪を築いたブライアン・セービアンGMを「ジャイアンツの中のジャイアント(巨人)」と称賛したのがニューヨークの新聞各紙だった。同GMは在職18年でポストシーズンに7回進出し、名GMの評価は定まっている。今更の称賛記事だが、手が込んだものがあった。

 「ヤンキースの人材による勝利。フロントもコーチもヤ軍OBばかり」という元ニューヨーク・タイムズ紙の殿堂入り記者の分析だ。コーチ陣7人のうち2人の打撃コーチ、投手コーチ、一塁コーチの4人がOB。セービアンGMもヤンキース出身で、大学野球の監督を経て、ヤ軍スカウトとして8年働いた。抑えのリベラ、遊撃手ジーターと殿堂入り確実な2人、さらに捕手ポサダ、左腕ペティットと90年代の黄金時代を支えた選手たちの発掘、契約に関わったのがセービアン・スカウトだった。その選手発掘の手腕を買い、ジ軍は「GMに」と誘った。

 「野球人の人脈は最初に自分がいたチームでつくられる。それで自然にヤ軍OBが多くなった」とGM。フロント名簿を見ると、スカウト部門と育成部門の要所にヤ軍の選手、フロントのOBが7人も名を連ねている。人の移動が激しい大リーグでも、これは珍しい。

 ヤ軍がワールドシリーズから遠ざかって5年、今季は2年連続でプレーオフにも進めなかった。カネで選手を買うばかりでスカウト・育成の有能な人材を大量に流出させたヤ軍。ニューヨーク野球記者のヤ軍への不満のうっ積具合がよく分かる称賛記事だった。
 (野次馬)

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