球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

黒人のMLB入り遠ざける手薄な大学奨学金制度

[ 2014年4月13日 05:30 ]

 毎年4月15日が近づくと定番報道が出る。大リーグにアフリカ系米国人が占める割合のリポートだ。1947年、ジャッキー・ロビンソンが初の黒人選手としてドジャースでデビューした。この記念日用の記事だが、今季開幕ロースターの黒人選手の割合は8・3%。昨季の8・5%からさらに減ってしまった。

 黒人選手が19%を占めた1986年をピークに、近年は減少に歯止めがかからない。危機感を持った大リーグ機構(MLB)は、黒人選手の契約機会を増やすための調査専門職にメッツの元監督ジェリー・マニエル氏を迎えた。

 黒人選手減少の最大の原因は大リーガーの30%を占める外国人選手の増加だ。しかし、国内の状況も問題、とヤンキースのサバシア投手がニューヨーク・タイムズ紙に語っている。

 「リトルリーグから高校までは多くの黒人の子供たちが野球をやっている。問題はそのあとだ」という。「大学に進学するときにバスケットボールかフットボールに移ってしまう。なぜなら、この人気2競技には学費全額の奨学金があるが、野球選手の奨学金は学費の10%から15%程度。経済的理由で野球を続けられない。私の場合、ドラフトで1巡目指名だったのでインディアンスと契約した。でなかったら大学に進み、フットボールに転向していた」。

 大学のバスケットボールとフットボールの強豪チームはプロチーム並みの収益を挙げる大学経営の柱。大学スポーツ界の競技による集金力の差が黒人選手を野球から遠ざけている。ならば、大学野球選手への奨学金支援制度でもつくってみたらどうだろう。MLBの今季の収益予測は90億ドル(約9000億円)というのだから。 (野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る