球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「スピットボール健在」大物OB言い争いで確認

[ 2013年5月12日 06:00 ]

 いかにも大リーグ、といつも思うのがスピットボール論争だ。指にツバや汗、ワセリンなどの異物を付けてボールに予測不能の変化をさせ打者を打ち取る投球。レッドソックスのエース、クレイ・バックホルツがこの不正投球をしていると実況中継で指摘された。告発者は元タイガースのエースのジャック・モリス氏。バックホルツは「やましいことはない」と言う。モリス氏は通算254勝の殿堂入りクラスの大物だ。野球記者たちは問題のブルージェイズ戦の録画を調べた。

 怪しいのは投球する右腕ではなく左腕。その赤いアンダーシャツの袖口が異様に黒く汚れ、腕も何か塗ったように光っている。左袖口か左腕に塗った異物を付けて投げたのでは。そんなビデオ分析報告が報じられた。電子版記事に付いたビデオを見ると、なるほど怪しい…気がしてくる。しかし、元ドジャースのエースで59回無失点の大リーグ記録を持つオーレル・ハーシュハイザー氏は「不正はない」と見た。

 「見つからなければスマートな投手、見つかればインチキ投手。彼はスマートな投手だ」と言う監督OB解説者の愉快なコメントもあった。バックホルツの6勝無敗、防御率1・60は過去の実績からも不思議ではないが、昨年シャツの袖口はきれいだったとか。

 今回のスピットボール論争が異色なのは、相手チームの抗議や審判員の摘発が火元ではなく、放送席から始まったことだ。大物OB投手2人の見解は分かれたが、真剣なやりとりでスピットボール健在は分かった。豊かな話題を生む伝統投球術の存続を喜びたいが、不謹慎だろうか? (野次馬)

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