球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ほのかな愛情 テキサス地元紙がファン心情代弁

[ 2017年8月6日 05:30 ]

 ダルビッシュを獲得したドジャースのファンは大喜びだ。4年連続でポストシーズンに進出したが、ワールドシリーズに届かない。5年連続が確実の今季こそ、ダルビッシュを切り札に88年以来29年ぶりのワールドシリーズ制覇を、と熱くなった。一方、放出したレンジャーズファンは沈むばかり。ファンの気持ちを地元紙が代弁した。

 「ダルビッシュはハイクラスの投手だった。そのエースとの交換が将来性リスト3位以内に入っていない若手3人とは驚く。もっと強固な交渉をすべきだったが、それをしなかった」。続いて年俸や契約時のポスティング費用などの経費と成績とを並べ費用対効果比を論じるのだが、お決まりの“結果論経済学”でありきたりだ。

 意訳になるが、面白いのは才能と性格を論じた部分。「彼は素晴らしい投手だった。彼は点の取れない打線の犠牲者にたびたびなったが、彼が三振を取るのを見るのは楽しかった。しかし、偉大な投手と言うには何かが欠けていた。投手としての大変な才能に比べて、控えめ過ぎた」。偉大な投手はマウンド上ではもっと強欲で、もっと闘争的で、もっと自信を誇示するもの。「彼の控えめな姿勢は野球では罪になるのではないか…」。日本でなら、完璧主義者の細心さ、とでも評される一面が力勝負の大リーグでこう見られた。

 「最適なチームに移籍した。東部の重苦しい名門意識にまとわりつかれたレッドソックスやヤンキースより、同じ名門でも西海岸の明るいドジャースでのびのびと力を発揮できるはず」。批判、皮肉というより、何となく愛情が感じられると思うが、どうだろう。 (野次馬)

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