球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ヒゲ&頭髪 ヤンキース“不滅”のドレスコード

[ 2017年3月12日 05:30 ]

 王座から遠ざかって8年、低迷ヤンキースはメディアに皮肉られることが多い。このキャンプのからかいのテーマは選手の頭髪の長さとヒゲだ。問題にされたのは、投手陣の柱の一人C・C・サバシア(36)がはやした顔の下半分を覆う無精ヒゲ。いや、カミソリをあて、きちんと輪郭を整えた意図的なヒゲだ。もう一人が昨季7月にインディアンスから獲得した若手外野手クリント・フレージャー(22)のモップのような長髪。

 ヤ軍では、口ヒゲの先端が唇より下まで来る長いもの、頬ヒゲ、襟元に達する頭髪は「ノー」。1973年、ボスと呼ばれた故ジョージ・スタインブレナー氏がオーナーになって規則を定めた。これまでもFAやトレードでヤ軍に加わった個性派スター選手の数人がこの「規則」に挑戦したが、ことごとく敗れた。この“身だしなみ規則”を2人が突き破れるのか…。サバシアは言葉を選びながら「何も言われなければ、このまま続けようと思う」。フレーザーは「7年生(日本の中学1年)のときから長髪だから」。

 ジョー・ジラルディ監督は記者の質問に、いら立った。「ヒゲや長髪を見るためのキャンプではない。問題があればフロントが言ってくるはず」。ドレス・コード(身だしなみ規則)はボスの長女で球団重役のジェニファー女史が目を光らせているのだとか。監督が記者に囲まれた4日後の10日(日本時間11日)、フレージャーは「注意された。チームを混乱させたくない」と短髪に。偶然の一致かサバシアのヒゲも消えていた。ボスが亡くなって7年、“遺訓”は不滅だった。昨年ヤ軍は中継ぎエースのアンドルー・ミラーなど7人のベテランを放出した。その全員が移籍先球団で頭髪とヒゲを伸ばした。ヤ軍の身だしなみ規則でストレスをため込んでいたのだろう。 (野次馬)

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