球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「投球なし敬遠」交換条件は「ロースター1人増」

[ 2017年2月12日 05:30 ]

 キャンプインを前に開かれたオーナー会議で、「敬遠の四球は投球なしで打者を歩かせる」とするルール変更を選手会に申し入れることになった。ロブ・マンフレッド・コミッショナー体制になった2年前から経営サイドが言い続ける「試合の静止時間を削り、アクション時間を増やす」政策の一環だ。

 大リーグ機構(MLB)には長時間試合に悩む中継テレビ局からの圧力が常にかかっている。慌ただしくMLBが動いたのは、昨季の平均試合時間が前年の15年から4分延び、再び3時間に戻ったため。このルール変更は、慣れるために選手が練習する必要がない。受け入れやすいはず、と考えた。

 選手会は、投球なしの敬遠が時間短縮に効果があるのか首をかしげる。昨季の敬遠総数は932回、2・6試合に1個で短縮時間は1分程度。「無駄な4球の投球をなくすことは、球界が試合のスピード化に取り組んでいることを示す象徴的意味合いがある」とMLB。さらにMLBはストライクゾーンの下限を引き上げる提案も示した。

 提案理由は「打者の30%近くが、四球を選ぶか三振になるかで“静止時間”を生んでいる。バットを積極的に振ることでボールは動き走者も増え、ファンにアクションに満ちた試合を提供できる」。しかし、ストライクゾーンの縮小は投手が不利になり打者が利益を受けるので、選手会として意見の集約が難しい。MLBは、それを承知の上で提案し、投球なし敬遠だけでも受け入れさせ、今季からの実施を目指す、と野球メディア。

 追い込まれた選手会と言いたいが、交換条件は持っている。ベンチ入り登録選手25人を1人増やし26人に、というのだ。果てしない労使の闘い…どうなる。 (野次馬)

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