ドジャースの強力ブルペンで、スイーパーの名手フィリップスはクローザー限定でなく火消し役に

[ 2024年2月20日 14:32 ]

ドジャースのエバン・フィリップス(AP)
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 1年前の開幕直後、ドジャースのブルペンは不調だった。最初の23試合は防御率5・05。6月中旬になっても4・98。これよりひどい成績はアスレチックスのみという体たらくだった。

 だが、ここから立て直し、最後の3か月は30球団でトップクラスの成績。最終的には23年のブルペン防御率3・42は全体3位の好成績だった。

 けん引したのは、右腕エバン・フィリップス(29)。62試合に登板、2勝4敗、24セーブ、防御率2・05。66奪三振13与四球、WHIPも0・832だった。途中から不動のクローザーになっている。

 だが、春のキャンプになって、デーブ・ロバーツ監督はフィリップスがクローザーだとは指名していない。オレンジカウンティレジスター紙のビル・プランケット記者が報じている。

 監督は「エバンは素晴らしかったし、クローザーの役割を勝ち取った。しかし勝つために8回に投げて欲しい時はそこで起用する。ドアは空いたままにしておくのが賢明。彼とは話している。今問われるのはチームにとって一番の選択肢は何か?なんだ」と言う。

 9回に固定するのではなく、試合展開を見ながら、ピンチに火消し役として使う。23年も7回に投げたことが3試合、8回が18試合だった。

 15年に、ブレーブスからドラフト17巡目で指名された投手。18年にメジャーデビュー、同年にオリオールズにトレード、しかし両チームで良い成績は残せなかった。21年オリオールズに解雇された後、レイズでも解雇。その後、ドジャースに拾われ、ドジャース再生工場で生まれ変わった。コーチからスライダーの握りを変えスピン量を増やし、もっと横滑りするようにと指導を受け、これが最大の武器スイーパーとなった。

 さらにカッターとシンカーをレパートリーに加えたことで投球の幅も広がった。23年は投球の45%がスィーパーで被打率・111、空振り率42・1%。96・4マイル平均のフォーシームも被打率・120、空振り率30・8%だった。昨オフに初めて調停権を得て、年俸は130万ドルから4百万ドルと3倍以上に上がっている。

 オフの間、ドジャースがFAのジョシュ・ヘイダー投手の獲得に動いているとか、トレードでケンリー・ジャンセンを呼び戻そうとしているなど、噂も流れた。そして今、監督はフィリップスをクローザーとして固定しないと言う。ブレーク・トライネンなど他にも結果が期待できる投手がいるからだ。

 フィリップスはプランケット記者に「基本、名前が呼ばれたらその場面で投げるが、シーズンには、クローザーの気持ちで入る。クローザーでないと言われない限りはね。自分の投げる場面は9回だと考えている」と話している。だが最大の目標はチームで勝つことだ。

 「ゴールはワールドシリーズに勝つこと。自分のポジションに固執したり頑固になったりはしない。勝つためなら首脳陣の決めたことに賛成するし、貢献したい」と話す。昨季も回をまたいで投げたことが6試合あった。火消し役、ファイヤーマンの役割も喜んで引き受ける。

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