初代DeNA監督・中畑清氏 ドラ1・度会と「超」ポジティブ対談 キャッチフレーズ考えよう!

[ 2024年2月20日 05:30 ]

DeNA・度会(右)に「決めセリフ」のすすめを説いた中畑清氏(撮影・長久保 豊)
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 元気な笑顔が魅力のルーキーと、元祖「絶好調男」による底抜けに明るい対談が実現した。DeNAのドラフト1位・度会隆輝外野手(21=ENEOS)を、初代DeNA監督でもある中畑清氏(70=スポニチ本紙評論家)が直撃。ともに「超」の付くポジティブ思考の持ち主で、そのルーツや打撃論、さらには新たなニックネームについてなど、最後まで笑いの絶えない対談となった。(取材・構成=永瀬 郷太郎、鈴木 勝巳)

 中畑 初めまして…、じゃないんだよな。

 度会 はい!中2の頃に千葉県佐倉市で長嶋茂雄さんの野球教室があって。「ヤクルトの度会の息子」と紹介してもらって中畑さんに会いました。

 中畑 俺、覚えてなくてさ…。

 度会 当時は身長が1メートル60ないくらい。「お、度会の。お前、ちっちゃいな!」と言われたことを鮮明に覚えています(笑い)。

 中畑 今は大きくなってなあ。俺の一番上の孫と同い年だよ(笑い)。さて、キャンプも終盤。アマとプロの差はどう感じてる?

 度会 スタンドに自分のユニホームを着て応援してくれる方がたくさんいる。そんな経験は今までなかったです。ヒットを1本打つたびに喜んでくれて、会っただけで涙を流してくれる方もいる。夢のような職業。これから先も誇りを持ってやっていきたいですね。

 中畑 スターの一番の条件を言葉に出す。いいねえ。底抜けに明るい性格。ポジティブな考え方は大好きなんだけど、俺とかぶってるような気もするなぁ(笑い)。

 度会 元々家族が全員プラス思考の家系なんで。僕よりもっとプラス思考な母親がいて。父親も兄も凄いプラス思考。そんな家族と暮らしてきた中でふと思ったんです。度会隆輝の人生がいつまで続くか分からない。それなら常にプラスに考えて、明るく生きた方が楽しいんじゃないかなと…。もちろん僕も人間なんで悔しい時、悲しい時もありますけど、なるべく早く切り替えるよう心掛けています。

 中畑 打者は打率3割でOK。逆に7割の悔しい時間があるからね。俺は長嶋さんにポジティブな思考、前向きに、と教わった。君はもう出来上がっているんだね。

 度会 ありがとうございます。

 中畑 若くして大したもんだ。ちょっと悔しいな…。俺は結構学んで、そういう気持ちになるまで時間がかかった。「絶好調」というキャッチフレーズで皆さんに幸せを与えるような選手になれた気がする。どう、君も新しいキャッチフレーズを考えない?

 度会 中畑さんは「絶好調」。

 中畑 俺、結構、有名だったんだよ(笑い)。今でもちょっとは有名だと思うけどな…。「2代目・絶好調男」じゃつまんないし。例えば巨人監督の阿部慎之助なら「最高です!」だけど。

 度会 うわっ!僕は22年の都市対抗で優勝して、MVPを獲らせていただいて。その時にアドレナリンが全開だったのもあってスタンドに向かって「最高で~す!」っていうのをやったんですよ。プロでも、と思ったけど、阿部さんとかぶっちゃいますね。

 中畑 新しい、オリジナルなやつがいい。「度会しかないんだ」という言葉でさ。さて、次は打撃の話だ。右足を振り子のようにしてタイミングを取る。誰か参考に?

 度会 先ほど名前の出た阿部さん。父親がヤクルトにいた当時、阿部さんの打撃を見てモノマネをしていたんです。右のお尻を投手に向ける感じの足の上げ方。そこから試行錯誤して今のスイングになりました。

 中畑 スイング軌道も、全てのボールの内側に対してバットが出ている。だから最後の最後までボールを見続けることができるよね。粘りのあるバットコントロールだ。

 度会 なるべくボールを長く見て。ボールとバットの接着時間を長くするというのはこだわっています。

 中畑 プロの世界での理想像は?アベレージヒッター、中距離、ホームラン打者…。

 度会 例えば吉田正尚選手(レッドソックス)、柳田悠岐選手(ソフトバンク)、山田哲人選手(ヤクルト)のように打率を残せて、なおかつ長打も打てる。そんな選手になりたいですし、なれると思っています!バットコントロールがセールスポイントの一つ。その中で長打力も負けたくない。2つを兼ね備えた選手になりたいですね。

 中畑 2つでいいの?トリプルスリーは?今、山田と柳田の名前が出たけど。

 度会 今、石井琢朗(チーフ打撃兼走塁兼一塁ベース)コーチに盗塁の仕方、リード幅、スタートの切り方…。たくさん伝授してもらっています。いずれはそういう選手になりたいです!

 中畑 じゃあ今季の目標の数字を決めよう。俺は2割8分、20本塁打で十分合格だと思う。牧の1年目が打率・314で22本塁打。いい先輩、最高の目標があるじゃないか!

 度会 物凄いですよね。その数字は。

 中畑 物凄いものにトライしないと意味がないんだよ。有言実行で数字を出すのも大事だぞ。

 度会 目標は高く、ですね。

 中畑 そう。ポジティブにな。たとえ壁にぶつかっても明るく、元気良く。そういうスタイルを見せ続けなきゃいけない。これはプレッシャーあるぞ。下、向けないぞ!

 度会 下を向いている暇はないですね。

 中畑 元気を常に出し続ける。毎日、毎試合、明るく元気良く。頑張ってくれよ!親父にもよろしく言ってくれ(笑い)。

 度会 伝えておきます。ありがとうございます。

 【取材後記】思っていた通りの好青年。ハキハキとしてて、メリハリの利いたコメントができる。昭和の古き良き時代の雰囲気もあってさ。いい家庭に育ったという感じがするね。

 性格的には私とかぶる部分もあるけど、彼の方が大人だね。私が「絶好調」という言葉と出合えたのは1軍に定着した4年目。レギュラーを獲る前だ。これって良い意味での自己暗示なんだけど、彼はすでにそれができているんだよね。

 技術的な裏付けもある。バットのヘッドがいつもボールの内側に入り、最短距離でボールを捉える。バットが体に巻き付くようなスイング。低めに対するバットコントロールも非常にうまい。難しい球はファウルで逃げ、甘い球を引き出す。四球をもぎ取ることもできる。アウトになりにくいバッター。早くヒーローインタビューが聞きたいな。(スポニチ本紙評論家)

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