阪神ドラ1下村が初ブルペン「いい緊張感で投げられた」 鈴木啓示氏は「将来性を感じさせる」

[ 2024年1月20日 05:15 ]

下村のブルペン投球連続写真
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 阪神の新人合同自主トレでは、19日にドラフト1位の下村海翔投手(21=青学大)らルーキー4人がブルペン入りした。下村と同5位・石黒佑弥投手(22=JR西日本)、同6位・津田淳哉投手(22=大経大)は初ブルペン。2度目となった同2位・椎葉剛投手(21=四国・徳島)も含め、本紙評論家の鈴木啓示氏(76)が投球をチェックした。

 ドラフト1位・下村が、初のブルペン投球で大器の片りんを示した。捕手を立たせた状態で直球のみを20球。久保田1軍投手コーチ、和田2軍監督ら首脳陣が見守る中、テンポ良く投げ込んだ。

 「硬いブルペンで投げやすかったです。いろんな人に見られながら、いい緊張感で投げられたと思います」

 表情にも充実感がにじんだ。7~8割の力感から放たれる、切れのある直球を受けた片山ブルペン捕手は球質、制球力を評価。特に、昨季大ブレークした村上のような“ナチュラルカットボール”に舌を巻いた。

 「安定した球筋は持っていますね。カット系の真っすぐが多かったかな。武器になると思う。ボール自体は、やっぱりさすがドラ1」

 下村自身は「真っすぐ投げたい」と納得いかなくても、評価されるのはプロで勝てる素材だという証拠。投球前には背番号19の先輩でもあり、自主トレに訪れていた藤浪にあいさつを済ませた下村。憧れの右腕とがっちり握手を交わし「頑張ってね」と声をかけられ、「メッチャ、デカかったです。うれしかった」と声を弾ませた。

 春季キャンプは大学時代の故障歴を考慮され、2軍スタートが決定した。岡田監督は「トレーナーからのアレ(報告)やけどな。今日もだいぶ投げてたみたいやけど。そこまで2月1日に合わせてやらせる必要がない。2月1日は練習のスタートの日なんやから、今年のスタートじゃないから」と説明。まずはシーズンの開幕を万全の状態で迎え、キャンプでは焦らせない方針を示した。ただし昨季から2軍も沖縄の具志川市でキャンプを行っていることから、状態次第ではキャンプ中の1軍昇格の可能性もある。

 当の本人は「別にどっちにいてもやることは変わらないので、やることをやるだけです」と自然体。最速155キロ右腕は、人生初めて踏み入れる沖縄の地で、着々と牙を研いでいく。(石崎 祥平)

 【鈴木啓示チェック】将来性を感じさせる“初投げ”だった。まず評価したいのは左足を上げた時に、右足にしっかり体重が残り、しかもブレることがない点。下半身が安定しているから、投げ急いでバランスを崩すことは少ないはずだ。

 その左足は捕手に対して、真っすぐ踏み込んでおり、体の粘りと球の切れにつながっている。捕手を立たせたままの初投げだが、それでも腕は振れていた。フォームのバランス、リリースのタイミングにも問題はない。楽しみな投手だ。

 2軍スタートとはなったが、勝負はまだこれから。焦ることなく、自分の投球を磨いてほしい。2軍スタートだからこそ、感じるものはあるはず。力任せでは球は走らない。力むとボールは散って、制球は安定しない。バランスのいいフォームを身につける時期だと心得てほしい。

 アウトローへのコントロールだけは絶対に負けないというものを、キャンプでつかむことができれば、プロでの成功に近づく。下村にとって、これからが大事な時期だ。

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