日本ハム・宮西 前人未到の400ホールドへ昔の投げ方で勝負「つぶれたら終わり」 新春インタビュー

[ 2024年1月3日 13:00 ]

新春インタビューでポーズを決める宮西(撮影・高橋 茂夫)
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 日本ハム・宮西尚生投手(38)がスポニチの新春インタビューに応じ、残り7ホールドに迫る前人未到の400ホールド達成への意気込みを語った。自身3度目の左肘手術を乗り越えた昨季は31試合に登板し、1勝3敗、13ホールド、防御率2・66。プロ17年目の今季は、引退も視野に入れたフォーム変更への思いを口にした。(取材・構成=清藤 駿太)

 ――あけましておめでとうございます。まずは昨季を振り返るとどうか?。
 「素直に悔しい。最後まで走り切れなかった悔しさがある」
 ――左肘手術を乗り越え、昨季序盤は勝ちパターンも任された。
 「8回のポジションを“もう一度奪い返す”という思いで、良いスタートは切れたとは思う。ただ、キャンプから飛ばした分、夏場にガス欠した。分かってはいたが、耐え切れなかったという部分では悔しい」
 ――昨季はボールの切れが上がった。
 「一昨年は肘が痛かったし、体も動かなかったので、ボールの切れがないのは明らか。昨年に関しては肘の痛みもなく、自分に合う新しいケア方法も見つけられた。体の切れもボールの切れも良くなったというのはあるけど…」
 ――あるけど?
 「自分の中では一つ今年の課題にしようと思っているけど、どうしようか迷ってんねん。全然気付かないやろうけど、実は上から投げているねん」
 ――重心が上がった気はしていた。
 「重心もそうだけど、腕の角度。だから本来の軌道ではないのよ。上から叩きつけて投げていたから、チェンジアップとか放れていたわけよ」
 ――シンカーも投げていた。
 「シンカーもそう。今まで15年くらいスライダー一本で戦っていたのは、打ちづらい角度に合わせて投げていたから」
 ――抜く系の変化球は横手だと投げにくい。
 「そう。上からだといろいろな変化球が投げられる。ただ、それは肘をかばった投げ方。上から肘をきれいに抜くとダメージが少ない。でも、肘を遅らせてムチのようにしならせたスリークオーターだと痛みが出てしまう。痛みをびびって上から投げていた」
 ――今季は全盛期のフォームに戻す?
 「やっぱり、2年も50試合登板できなかった悔しさがある。覚悟を決めてつぶれたら終わり。引退しようという覚悟で、昔の投げ方で勝負しようという考えはある。ただ、どうしようかな?せっかく、チェンジアップも覚えたし(笑い)」
 ――横手投げのメリットは。
 「やっぱり、ボールの軌道は全然違うよね。上からだと真っすぐ来るが、サイド気味のフォームだと横幅が使えるし、左打者は背中から来る恐怖心もまた増える」
 ――ただ、痛みが出るリスクもある。
 「もう肘の軟骨がすり減ってない。骨と骨のクッション材がないから、直接ぶつかって炎症が起こるリスクはある。悩みどころではあるが、もう覚悟を決めていい年齢、勝負どころじゃないかなとは思っているよね」
 ――昨季はよく「復活」と言われたが。
 「復活ではない!復活なんてどれだけ大変なことか。その時その時の肘の状態に合わせてここ数年、フォームを変えてかわしていただけ」
 ――今季は本当の意味での完全復活を。
 「そこで活躍できた時に“復活”という言葉は、自分の中ではしっくり来るかな」
 ――近年、2軍生活も続いて変化は。
 「全体の見え方が変わってきた。今までは1軍でどう勝つか、どうやらなあかんとチームを見ていた。ただ、これからの選手と一緒に練習することで、自分の引き出しや1軍の考え方などを伝えてあげないと、という気持ちになっている。あと目つきが悪いのか、声かけづらいとずーっと言われてきたから、優しく笑顔でいることを心がけている(笑い)」
 ――前人未到の400ホールド達成まで残り7。
 「(18年の)NPB AWARDSで(元巨人の)山口(鉄也)さんに“誰も届かないところまでホールド記録をつくれ”と言われて、うれしかったし、そのことは忘れない。期待してくれているファンの方はたくさんおるから、達成して喜んでもらいたい」

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