【新春対談 阪神・岡田監督×赤星憲広氏(1)】鍛えるべきは…「森下の足やな。もっと走れると思う」

[ 2024年1月3日 05:15 ]

来季の青写真を赤星憲広氏(左)と描く岡田監督(撮影・平嶋 理子)
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 阪神・岡田彰布監督(66)と本紙評論家・赤星憲広氏(47)の新春吉兆対談が実現した。2004年から08年までの第1次政権で不動のリードオフマンを担った教え子を前にして、初笑いのぶっちゃけトークを展開。球団初のセ・リーグ連覇へ、「選手はその気になっている」という自信を見せるとともに、森下翔太外野手(23)の「足」を、得点力アップのカギに挙げた。

(取材・構成 倉世古 洋平、鈴木 光、畑野 理之)

 赤星氏(以下、赤星) 23年の元日紙面(※1)の対談も、同じホテルでしたね。

 岡田監督(以下、岡田) ああ、そうやったなあ。

 赤星 06年と同様に、今年は連覇が懸かります。

 岡田 あの時も正直、勝てると思った。でも、相手が強かったな。84勝もして勝てんかったからな(※2)。巨人、中日が強い時代だったし、当時は連覇なんて言うたことなかったよ。

 赤星 でも、当時(05年)と違い、昨季は日本一になりました。チームにとって良い財産になったのでは?

 岡田 日本シリーズで勝つのと、負けるのとでは、こんなに違うのかと、去年特に感じたな。選手もその違いを感じたと思う。

 赤星 選手は、シーズンオフでも精力的に体を動かしています。

 岡田 だって、(優勝旅行先の)ハワイで、朝5時半から筋トレをしていたで。才木と岩貞か。終わってから公園でもキャッチボールをしてな。グラブを持参しただけでも凄いよな。

 赤星 佐藤輝は優勝旅行を早く切り上げて、米国本土の練習施設(※3)へ行きました。

 岡田 それは知らんがな。

 赤星 前回、日本一になった85年とは違う雰囲気でしょうか。

 岡田 あんなもん、遊びほうけていたよ(笑い)。トレーニングなんか、全然、眼中になかった。毎日、ゴルフをしていたもん。

 赤星 これだけ監督が連覇を口にするのは、自信の裏返しですか?

 岡田 いや、俺より選手の方が言っているで、連覇って(笑い)。選手は、その気になっているというかな。選手の方が何かをつかんだんやろな。

 赤星 上積みすべき部分を探すことが難しいほど、チームは充実しています。

 岡田 何を上積みしたらいいかな…。“今のまま、普通にやりなさい”と言う方が自然かもわからんな。木浪、大山、近本でも今年が30歳の年齢(※4)か。あとのメンバーは20代半ばぐらいやろ?去年がスタートみたいなもので、やることがある程度わかっている今年は、もっと数字的に出るのとちゃうかな。

 赤星 昨季苦しんだ青柳や湯浅(※5)が力を発揮すれば、さらに強くなりますね。

 岡田 そこまでできたら、(勝ちすぎて)大変なことになるやんか(笑い)。

 赤星 今年も春季キャンプで臨時コーチ(※6)をさせていただきます。鍛えるべき選手はいますか?

 岡田 森下の足やな。あれはもっと走れると思うな。

 赤星 僕の目標は監督に、森下に盗塁のサインを出そうと思わせることです。

 岡田 脚力はあるよ。あとは意欲やな。去年は1盗塁か。でも、サインを出していないんよ。ずっと勝っていたから。森下が盗塁に失敗して流れがおかしくなるのも嫌やったから。まあ、1、2番(近本、中野)に続いて森下まで走れたら大きいよ。4番の大山への配球も変わるやろうし。

 赤星 確かに森下が動ければ、大山、佐藤輝がもっと打てると思います。

 岡田 でもな、森下はちょっと(好不調の)差が激しすぎるよ。調子が一回狂ったら、泣かさなアカン(※7)。悔し涙を流したら、また元に戻るのとちゃうか(笑い)。

 (2)へ続く。

 (※1)18年ぶり“アレ”へのポイントを直撃。「大山4番」「中野二塁」「期待の森下」と、当時の構想の的中ぶりが岡田監督の確かな観察眼をうかがわせる。

 (※2)中日に3.5ゲーム差をつけられての2位。直接対決で7勝14敗1分けの負け越しが響いた。

 (※3)米ワシントン州シアトルの野球研究・トレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」に滞在。「バレルゾーン」に打球を飛ばす特訓に励んだ。

 (※4)1994年生まれ。誕生日は木浪=6月15日、近本=11月9日、大山=12月19日。

 (※5)青柳は初の開幕投手も、2軍降格を経験する不振に陥り8勝6敗。自己ワーストの防御率4.57。湯浅は右肘痛、右前腕部の張り、左脇腹の筋挫傷と相次ぐ負傷で登板は15試合止まり。0勝2敗8セーブ3ホールド。

 (※6)阪神春季キャンプでの指導は12年以来11年ぶり2度目。23年2月4日から3日間、走塁と外野守備を指導。投手の青柳には走者目線から、盗塁させない秘訣(ひけつ)を伝授した。

 (※7)23年9月29日のDeNA戦5回、無死満塁の好機に空振り三振。直後に途中交代させられベンチで涙を流した。岡田監督は「(ボール球ばかり振って)お客さんに失礼やんか」とバッサリ。翌30日の広島戦では代打出場で左前打と挽回。

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