楽天・松井友飛が石川県穴水町の実家で被災 「一番必要なものは水…あとは情報」

[ 2024年1月3日 05:30 ]

楽天・松井友飛
Photo By スポニチ

 元日に北陸地方を襲った「令和6年能登半島地震」は、帰省中のアスリートたちも直撃した。石川県穴水町で被災した楽天・松井友飛投手(24)は2日、スポニチ本紙の取材に答え、被災直後の状況や町の惨状を語った。

 正月気分を味わっていた最中の1日午後4時10分。マグニチュード7・6の巨大地震が発生した。松井の実家がある石川県穴水町では震度6強を観測。初詣から帰ったタイミングで、経験したことがない揺れに襲われた。

 「本震の前に、少し強い地震があって。その時は“結構、揺れたな”ぐらいの感じだったのですが。すぐ後にめちゃくちゃ強い揺れがきました。家の中は食器が割れたりするぐらいで済みました」

 07年の能登半島地震(穴水町は震度6強)も経験しているが「当時の揺れよりも強く感じました」と振り返る。本震の揺れが収まると、すぐに停電。しばらくすると水道も止まった。ライフラインが寸断され、鳴りやまないスマホの緊急地震速報と、大津波警報発令を知らせる防災無線のサイレンが恐怖心を増幅させた。

 高台にある実家に大きな被害がなく避難生活は免れたが、母校の穴水中は避難所となった。多くの人が眠れぬ夜を過ごしており「避難所は人が多くて入れないと聞きます。僕の実家はまだ電気が使えないけど、石油ストーブで暖を取ることはできています。余震が続いているので夜は全然寝られません」と少し疲れた様子で話した。

 松井の家族や知人の無事は確認できているそうだが、県によると町内では3日午前0時時点で2人の死亡が確認されている。実家周辺はスマホがつながらない状況が続く。比較的電波状況の良い町の中心部まで行く道すがら、大地震が残した爪痕が目に飛び込んできた。「たくさん家が倒壊していて、道路もいたるところで亀裂が入っている。大変なことになっています」。町の惨状に心が痛んだ。

 当初は3日に仙台に戻って自主トレの準備を始める予定だった。「一番必要なものは水です。あとは情報ですね。この状況で地元を離れていいものかどうか。どうしたらいいのか…」。今は野球のことを考える余裕はなく、故郷が一日も早く日常を取り戻すことだけを願っている。(重光 晋太郎)

 ◇松井 友飛(まつい・ともたか)1999年(平11)10月11日生まれ、石川県穴水町出身の24歳。小3で野球を始め、穴水中では外野手。穴水高では1年春からベンチ入り。金沢学院大では1年秋と2年春に最優秀防御率&ベストナイン、2年秋に明治神宮大会出場。21年ドラフト5位で楽天に入団。昨年までチームに同姓の松井裕樹(パドレス)がいたため、愛称は「デカ松」。昨季は5月4日のロッテ戦でプロ初勝利を挙げ、6試合で1勝2敗、防御率3・86。1メートル90、87キロ。右投げ右打ち。

 ▽穴水町(あなみずまち) 石川県の能登半島の中央に位置し、被害の大きかった輪島市、七尾市などと隣接する。2015年に約8700人、20年に約7800人だった人口は、同町公式サイトによれば23年12月時点で7360人(男3537人、女3823人)。65歳以上の老年人口が多く、過疎化も続いているが、豊かな自然に恵まれ、移住者・定住者の受け入れも積極的に取り組んでいる。主な出身者は大相撲の平幕・遠藤、西武・牧野。

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年1月3日のニュース