【新春対談 オリ・舜平大×能見篤史氏(1)】最低2桁勝利、宮城に勝ったら靴をプレゼントするよ

[ 2024年1月3日 05:00 ]

本紙評論家・能見氏(左)の前でボールを手に笑顔でポーズを決めるオリックス・山下(撮影・後藤 大輝)
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 本紙評論家・能見篤史氏(44)と昨年、新人王を獲得した次世代エース候補のオリックス・山下舜平大投手(21)の新春対談が実現した。前編では7キロアップの体重増に成功し、ますますパワーアップした令和の新怪物が、高卒4年目の今季は“あの先輩”に勝つことを公約に掲げた。能見氏は、達成のご褒美に高級靴のプレゼントを約束した。(取材・構成 中澤 智晴) 対談動画前編はこちら  対談動画後編はこちら

 2人 新年明けまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 能見氏(以下、能見) デカくなりすぎ(笑い)。舜平大投手は、(1年目の新人合同)自主トレから見させてもらっていたけど、一人だけ別格だった。ボールの質、キャッチボールも想像していたよりもだいぶん上のランクだった。凄いなというのが第一印象だった。

 山下 僕はテレビで見ていた能見さんだと。入団が決まって、ちょうどその時(20年12月)にオリックスへの移籍が決まり「やったー!」と思いました。(初めて投球練習を見た時の印象は)とにかく凄かった。コントロールも凄いし、意図していたボールをずっと投げられていた。ちょっと(他の選手とは)レベルが違うなと思いました。

 能見 私が(ファーム施設の)舞洲で練習している時にはいろいろ話もしたね。悩んでいる時期もあった。真面目なので、何でも聞き入れてしまう感じがあったので「ちゃんと良いものだけを取り入れた方がいいよ」と言ったことがある。

 山下 それが一番大きいのかなと思います。能見さんはコーチというよりも、選手としての先輩というのが強かったです。いろいろな先輩方に「自分の意思を強く持つ(ことが大切)」ということを言われますけど、能見さんに言われると重みが違う。ありがたかったです。

 能見 昨年は最後にケガ(※1)もあった。今の状態はどうなの。

 山下 ケガも治りました。2月のキャンプからオープン戦、開幕戦に向けて準備している段階です。

 能見 オフに力を入れていることは。

 山下 全体的にまだまだレベルを上げないといけないので、まずは体づくりからです。今までより馬力をつけるような取り組みをしていますし、技術的な細かいところもやっています。

 能見 今まで以上に馬力をつけるの?

 山下 今後は馬力だけでは、抑えられなくなってくると思うので、細かいところまでいろいろ勉強してやり始めています。

 能見 昨年の活躍は想定通りだった。まさか開幕投手(※2)として行くとは思っていなかったけどね。ボールの質もそうだし、打者の反応も、打者が予測しているより上回っていた。今年はまた(体も)ひと回り大きくなってる。キャッチャーは(ボールを)捕れないんじゃないの?

 山下 その反応は、うれしいです。

 能見 実際には、どれくらい大きくなった?

 山下 離脱してからは7キロくらい(体重が増えた)。

 能見 そんなにデカくなるものなの?

 山下 食事とトレーニングをガラッと変えました。日本シリーズ前に(シーズン中の復帰は)無理かなという診断(※3)になったので。そのタイミングで少し早めの自主トレ期間を頂いたという感覚で体からつくり直そうかなと。トレーニングはもちろん、食事もシーズン中は、できなかったことをやり始めました。

 能見 私は、体を大きくすることは相当大変だった。練習よりもきつかった。元々太りやすかったの?

 山下 元々はガリガリでした。

 能見 結構、無理やりやってる?

 山下 今は無理やりです。時間で区切っているので、おなかがすいていない時は無理やり(食べ物を口に)入れています。

 能見 私は吐いたことある。しんどすぎて…(笑い)。

 山下 それはないですね。でも(体を)大きくしようとして食べているわけでもない。トレーニングをして、その分、栄養を取ってという感覚ですね。

 能見 昨年、宮城には15勝したら“靴をプレゼントするよ”と約束した。でも(10勝4敗で)全然足りなかったけどね。今年はどうしようか。

 山下 欲しいものがないです。

 能見 靴はあっても困らない。時計とかは無理だよ(笑い)。

 山下 宮城さんよりは勝ちたいです。

 能見 そっちでいく。じゃあ、宮城に勝ったら靴のプレゼントでいきましょう。

 山下 ありがとうございます。

 能見 昨年より、勝利数は上回ってもらわないと。じゃあ(最低)2桁ね。

 山下 2桁勝っても宮城さんに負けたら、負けですね。

 能見 厳しいね、自分に。じゃあ負けたら“能見さんへ”って、私の名前を入れたサインを書いてもらうからね。

 (※1)8月26日のロッテ戦で自己最速を1キロ更新する160キロを計測も、6回の投球練習前に腰の張りを訴えて降板。翌27日に登録抹消された。

 (※2)3月31日の西武戦。2年目以降の投手が1軍初出場で開幕投手を務めるのは、2リーグ制以降で初だった。

 (※3)9月22日に第3腰椎分離症の診断。中嶋監督は「いないものと思ってやるしかない感じ」と話し、ポストシーズンの登板はなかった。

 ◇能見 篤史(のうみ・あつし)1979年(昭54)5月28日生まれ、兵庫県出身の44歳。鳥取城北から大阪ガスを経て04年ドラフト自由獲得枠で阪神入団。12年に172奪三振で初タイトル。20年オフにオリックスへ投手コーチ兼任で移籍し、22年限りで引退。通算成績は474試合で104勝93敗4セーブ、防御率3.35。13年WBC日本代表。左投げ左打ち。

 ◇山下 舜平大(やました・しゅんぺいた)2002年(平14)7月16日生まれ、福岡県出身の21歳。福岡大大濠では1年秋からベンチ入りし、コロナ禍で甲子園大会が中止となった3年夏は、福岡県代替大会で地区準優勝。20年ドラフト1位でオリックス入り。23年3月31日のシーズン開幕の西武戦で1軍初登板初先発。9勝(3敗)でリーグ3連覇に貢献。1メートル90、98キロ。右投げ右打ち。

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