阪神ドラ1・下村 球児握りで火の玉習得意欲 テレビ番組“共演”OB藪氏が伝授

[ 2023年11月8日 05:15 ]

読売テレビ「朝生ワイド す・またん!」に出演した青学大・下村(読売テレビ提供)
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 阪神のドラフト1位・下村海翔投手(21=青学大)が7日、読売テレビの朝の情報番組「朝生ワイド す・またん!」にリモートで生出演し“火の玉ストレート”習得に意欲を見せた。番組内で球団OBの藪恵壹氏(55)から、藤川球児氏(43)も取り入れる直球の特殊なボールの握りを伝授された未完の大器は、昨年まで藤浪晋太郎投手(29=オリオールズFA)がつけていた背番号19を熱望。最速155キロの直球を進化させ、サクセスロードを突き進む。

 最初は緊張の面持ちだった下村の目に力が入ったのは、番組に出演していた球団OBの藪恵壹への質問を促された時だった。

 「YouTubeで(藪氏の)動画を見させてもらったんですけど、自分もストレートで押したいんですけど、その強さはどうやって出せばいいのか」

 2桁勝利を3度、日米通算91勝を挙げたドラ1の先輩からは「球速は5キロ上がる」とすしの握りを引き合いにボールの縫い目にかける人さし指と中指の間隔を空けない握り方を伝授された。藪氏だけでなく、この特殊な握りを取り入れていたのがNPB通算243セーブをマークした球団OBの藤川球児氏。分かっていても打てない“火の玉ストレート”で幾多の打者をなで斬り、絶対的守護神として一時代を築いた。

 下村も先輩からの具体的な助言に目を輝かせ「試してみたい」と宣言。四隅に投げ分ける最速155キロの直球がアップグレードすれば、プロの舞台でも大きな武器になる。

 「19番をつけたいです。10番台で空いてる番号が19番と聞いて、幼い頃から(昨年まで19番の)藤浪さんを甲子園に見に行っていたので。そういう選手の背番号を背負えるなら光栄なことだなと」

 出演者からつけたい背番号を問われた際も迷うことなく“直球”で返答した。西宮市出身の下村は、19番の前任で今季からメジャーに挑戦した藤浪が大阪桐蔭にいた高校時代から甲子園のスタンドで熱視線を送っていた。入団時は、どちらかといえばチームから与えられる印象の強い背番号で特定のものを自ら希望するのは珍しい。 憧れでもあり、高卒と大卒の違いこそあれ1年目から3年連続で2桁勝利を挙げた背番号19の先輩は下村にとっても追いかける存在。そして、青学大で11番を背負った右腕は装い新たにプロでの頂上決戦で腕を振る未来の自身もイメージした。

 「まずは1軍に定着して投げることが大事ですけど、そこ(日本シリーズ)を目指して頑張りたい」

 リモートながら早朝5時台からのテレビ出演で期待のドラ1は、目の覚めるような決意と野望を口にした。(遠藤 礼)

 ◇下村 海翔(しもむら・かいと)2002年(平14)3月27日生まれ、兵庫県西宮市出身の21歳。小3から野球を始め、甲武中時代は宝塚ボーイズに所属。九州国際大付では1年秋からベンチ入りも甲子園出場なし。青学大では1年秋からリーグ戦に登板し通算6勝。最速155キロ。50メートル走6秒0、遠投120メートル。1メートル74、73キロ。右投げ右打ち。

 《藤川球児の握り方》一般的な直球の握り方は、ボールに対して人さし指と中指を少し離すが、藤川は閉じて握ることにより、安定感を保てるという。これにより強烈な縦回転がかかった代名詞の“火の玉ストレート”は、打者の手元で浮き上がったように見える軌跡を描き「直球とわかっていても打てない球」で三振の山を築いた。

 《阪神の背番号19》これまでの15人中8人が投手。初代19番投手は1リーグ時代、初代巨人キラーとして知られ、野球殿堂入りも果たす西村幸生(37~39年)。しばらく野手が続いた後、工藤一彦(75~78年)から先代の藤浪晋太郎(13~22年)までは7人連続で投手の番号。新人・江川卓との異例のトレードで巨人から移籍。G倒に執念を燃やした小林繁(79~83年)。85年リーグVの胴上げ投手、中西清起(84~96年)。98年ノーヒットノーラン達成の川尻哲郎(98~03年)ら阪神の歴史に名を残す投手ぞろいだ。

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