侍の“弁慶”万波 バット6本持ち込み柵越え10発「同じスイングができるように」

[ 2023年11月8日 05:29 ]

フリーバッティングをする万波(撮影・藤山 由理)
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 侍の弁慶だ。「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」(16~19日、東京ドーム)に向けた侍ジャパンの宮崎秋季合宿2日目となった7日、万波中正外野手(23)がフリー打撃で最多の10本の柵越え。1000本の刀を求めた武蔵坊弁慶のように、重さやバランス、グリップの形状が異なるなど6種類のバットを持ち込んだ男が圧巻のパワーを披露した。

 弁慶の名を多く残す北の大地で研さんを積む若武者が、七つ道具ならぬ“六つバット”を持ち込んだ。万波は数種類のバットを抱えて登場。オレンジや緑の色が入ったものや、グリップの形状が違うものを手に、打撃練習を始めた。

 「重さやバランスが違う。体の中心で振れるように、同じスイングができるように、いろいろなバットを使っている」

 岩をも切り落とす切れ味を持った「岩融(いわとおし)」を愛刀に、数々の勝利を挙げてきた弁慶。万波も切れ味鋭いスイングで理想を追う。昨オフから始め、シーズン中も続けた「トレーニングドリル」を継続。「変える必要がない。精度もまだまだだと思うので、もっと上げていけるように」と見据えた。

 1000本の刀を奪うという誓いのもと、道行く人に決闘を挑み「薙刀(なぎなた)」を振ってきた弁慶。万波は「信頼して中軸で使ってもらえるように」と誓いバットを振った。宮崎市清武町の中堅122メートル、両翼100メートルのSOKKENスタジアムでのフリー打撃は26スイングで2度の3連発を含む10本の柵越え。牧が30スイング、紅林の辞退による追加招集でこの日合流した野村も32スイング、秋広も31スイングでいずれも0本と主軸候補がおとなしかった中で、桁違いのパワーを示した。

 技術も奪う。打撃練習で同組だった岡林や、ともに特打を行った小園の打撃を食い入るように見つめた。「岡林は捉える確率が凄く高いし、小園はどのコースもバットがスパッと出てくる」。4番が明言されている牧には「どういうふうに打っているか聞いた」と質問した。侍の「牛若丸」牧を支える5番候補は「本当に良い時間。楽しみながらできている」と目を輝かせた。

 練習中の打球速度は平均で170キロ超えで、メンバー中トップとなる驚異の数値も叩き出した。数々の伝説を残した弁慶のようににらみを利かせ暴れ回る。(小野寺 大)

 ▼井端監督(平均170キロ超えの打球速度の)数値は物凄く高い。日本でも(ヤクルト)村上選手の次、(巨人)岡本和選手と変わらないぐらいと数値で表れている。

 ▽武蔵坊弁慶 「弁慶」の通称で知られる、1170~80年代の平安時代後期に活躍した僧兵。道行く武士を襲っては太刀を奪うことを繰り返し、999本の刀を集めた。祈願としていた1000刀目を奪うために襲いかかった「牛若丸(源義経の幼少期の名)」に敗北し、家来となって忠義をつくしたとされる。

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