巨人・鈴木コーチ「神走塁塾」で第一歩 “代走のスペシャリスト”が湯浅&鈴木大に対話と実技

[ 2022年11月4日 04:44 ]

鈴木大(手前)の走塁を見つめる鈴木外野守備兼走塁コーチ。左は湯浅(撮影・河野 光希)
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 技術を盗ませる。新任の巨人・鈴木外野守備兼走塁コーチが宮崎で行われている秋季キャンプ2日目でさっそく動いた。湯浅、鈴木大に走塁指導。代走のスペシャリストによる「盗塁塾」が開講した。

 「技術論と共有。僕がやってきたことが全てではなくて、彼らの中にエッセンスとして入れる」と鈴木コーチ。まずは対話から入った。ブルペンで30分間、2人とリラックスした状態で話した。「僕が何者かは知っているかもしれないけど、人のイメージって怖い。そういうのは嫌」と、心を開かせるところからスタートを切った。

 グラウンドへ戻ると50分の実技指導。通算228盗塁のうち代走で132盗塁というプロ野球記録を持つ男が「何よりの無言のメッセージ」と手本を見せた。20年に2軍で盗塁王を獲得した湯浅と50メートル5秒8の俊足が武器の育成1年目の鈴木大のスタートを見ると「腕の振りが遅い」と指摘。始動を左手から大きく振りだすよう指示すると、見違えるようにスタート時のスピードが増した。走るごとに映像も見せ「良い動作で良い反応ができる準備をこのキャンプでつくる」と見据えた。

 盗塁数は成績にリンクする。リーグ連覇を果たした19、20年はチームの盗塁数もリーグ2位と1位。今季は同4位の64個で順位も4位に沈んだ。盗塁数増へ向け、自身のような「切り札」の出現は不可欠。「監督もそういう選手を求めていると思う」と意欲を見せると同時に「レギュラーで出る人たちがどのような走塁観を持つか」と意識向上も求めた。

 鈴木コーチは「まだ全然、初歩の初歩くらい」と言うが、入寮時に同コーチの著書を持ち込むなど心酔する鈴木大は「初めての感覚」と目を丸くする。「走塁、意識を話し合いながら何回も言い続けて伝えていくというのが一番のテーマ」と鈴木コーチ。3年ぶりのチーム復帰で、力強い第一歩を踏み出した。(小野寺 大)

 ◇鈴木 尚広(すずき・たかひろ)1978年(昭53)4月27日生まれ、福島県出身の44歳。相馬から96年ドラフト4位で巨人入り。主に代走として05年から引退する16年まで12年連続で2桁盗塁を決め、通算228盗塁。15年に球宴出場。19年に外野守備走塁コーチを務め、同年に退団。今年10月に外野守備兼走塁コーチに就任。1メートル80、78キロ。右投げ両打ち。

 ≪今季リーグ4位64盗塁≫今季巨人のチーム盗塁数はリーグ4位の64。昨年も65盗塁(同4位)に終わっており2年連続Bクラス。盗塁成功率も昨年・644、今季・667と精度を欠いている。最近10年間の盗塁数を見ると優勝した4シーズンは1位2度、2位2度と全て2位以上。V奪回に機動力の復活が求められる。

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2022年11月4日のニュース