長野、巨人電撃復帰3つの理由 両球団の親心…本紙担当キャップが解説

[ 2022年11月3日 05:20 ]

マツダスタジアムで取材に応じる長野(撮影・河合 洋介)
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 広島の長野久義外野手(37)が無償トレードで巨人に移籍することが2日、両球団から発表された。長野は19年1月に広島から巨人にFA移籍した丸佳浩外野手(33)の人的補償で広島加入。5季ぶりの巨人復帰となる。巨人、広島の両球団がなぜ、古巣への復帰を実現させたのか。その背景に巨人担当キャップの川島毅洋記者(44)が迫った。

 今年6月末。米国帰りの秋山の広島入りが決まった。時期を同じくして、長野は2軍調整へ。丸の人的補償で19年に移籍してから、4年目。出場機会が減る中、広島は古巣・巨人復帰への道を模索していた。

 本人の意思を確認した上で夏以降、巨人との協議を続けたのは、広島・鈴木清明球団本部長だ。「彼は2度もドラフト(指名)を拒否している。巨人に入りたくて、巨人を貫いた選手。いつかユニホームを脱ぐことがあるとしたら、やっぱり巨人で脱ぐべきではないかと思っていた」。巨人も人的補償での移籍直後から球団幹部が「今すぐというわけにはいかないかもしれないけど、考えている」とするなど時期をうかがい、背番号7は空いたままだった。

 「彼の野球人生を考えてのこと。選手を(巨人から)連れてくる価値はあるけど、そこにこだわるよりも、まずは彼が行ける形ということ」と鈴木球団本部長。「無償トレード」に両球団の親心が込められた。

 巨人は今季、5年ぶりのBクラスとなる4位。リーダー不在も不振の一因だった。最年長は移籍組の中島で40歳、生え抜きは33歳の坂本。37歳の長野が加われば坂本の負担も減る。今季限りでソフトバンクを退団した39歳の松田の獲得調査も、雰囲気をつくることができるリーダー「補強」の意味合いもある。原監督は秋季キャンプ初日の宮崎で「いろんなものがいいものとして、彼もジャイアンツも出てくるといい。ほとんどの人が後輩になる。刺激になるでしょう」と復帰によるチームへの好影響を期待した。

 今年のドラフト1位で指名した高松商(香川)の浅野翔吾は、将来の中心選手となり得る素材。同じ外野手として、「巨人ドラフト1位」の重圧も知る長野だからこそ、助言できることもあるだろう。もちろん手薄な右の外野手として、必要な「戦力」でもある。

 今季、自己最少の58試合出場で打率・211、3本塁打、15打点だった長野。古巣復帰で輝きを取り戻した広島・新井監督の例もある。ただ、結果が出なければ厳しい立場に置かれるのも巨人の宿命。巨人を愛する男にとって、強い決意を持った復帰になる。

 ◇長野 久義(ちょうの・ひさよし)1984年(昭59)12月6日生まれ、佐賀県出身の37歳。福岡・筑陽学園から日大に進み、06年大学・社会人ドラフトで日本ハム4巡目指名も入団拒否。ホンダに進み、08年はロッテ2位指名を拒否し、09年ドラフト1位で巨人入り。10年に新人王、11年に首位打者などを獲得した。18年オフに広島移籍。今季は58試合で、打率.211、3本塁打、15打点。1メートル80、85キロ。右投げ右打ち。

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2022年11月3日のニュース