大谷翔平と対面のアストロズ日本人スタッフ・大高コーチ 名門イエール大でプレー経験持つコーチ“2年生”

[ 2022年9月11日 09:15 ]

アストロズの大高大五郎内野守備コーチ(撮影・笹田 幸嗣通信員)
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  9日(日本時間10日)のヒューストン。翌日の先発に備えブルペン調整を終えたエンゼルス・大谷が今年の球宴で「DH」の座を巡り、激しく争ったアストロズの主砲アルバレスに声をかけられた。

 横には小柄な日本人スタッフの姿もある。メジャー取材では見覚えのない身長1メートル70にも満たない日本人は大谷とあいさつを交わした。彼の名は大高大五郎。ア軍のルーキーリーグで内野守備コーチなどを務める24歳は「初めて会いました。格好いいですね。日本でもアメリカでもトップですごい」と興奮冷めやらぬ表情で話した。

 思いもよらぬ「メジャー昇格」だった。ア軍のベンチコーチを務めるジョー・エスパーダが個人的な理由で数日間、チームを離れることになった。その代役として呼ばれたのが傘下マイナー最下部のルーキーリーグでコーチを務める大高だった。まだ「コーチ2年生」。ピックアップしたのはア軍のダスティ・ベーカー監督だった。

 今春、労使交渉の対立でキャンプ開始は大幅に遅れたがマイナーは通常通りキャンプインした。これが大高にとっては一つの追い風となった。普段はメジャーの指導者がマイナー組織を巡回するチャンスはない。この春だけに巡ってきた幸運。そこで73歳の老将の目に留まった。勤勉な取り組みと人柄を評価され、わずか数日間の代替ではあるものの“経験を積ませたい”という親心で呼び寄せられた。

 日本生まれ。5歳の時に米国へ移った彼は文武両道アイビーリーグの名門イエール大学で4年間プレーし、ジョンズ・ホプキンズ大学でもプレーした経験を持つ。プロ組織でのプレー経験はないものの、昨年6月にア軍からマイナーコーチとして雇用された。「他球団ではプロ経験がないと難しいが、アストロズはプロ経験はなくてもアイデアが良かったり、コーチとしていいと思われれば入れる」と大高コーチ。学生時代から自身のツイッターに自分なりの内野手理論を動画で投稿していたことがア軍の球団幹部の目にとまった。

 7日にメジャー合流したばかりだが、エスパーダ・コーチが既に復帰。13日(同14日)からはフロリダで始まるインストラクショナルリーグ(主に若手の育成を目的)での指導に戻る。「夢はメジャーでベンチコーチになること」。24歳は目を輝かせる。

 大高コーチには「己を信じる」強さを感じる。同時に「人に恵まれる」といった幸運も持ち合わせている。そして、彼の言葉からは常に周囲への「感謝の念」が繰り返される。24歳の輝かしい未来に幸運あれ、と願う。(記者コラム・笹田幸嗣通信員)

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