西武「完全級」1安打完封リレー 与座→平良→増田で56年ぶり27人斬り

[ 2022年6月9日 05:30 ]

交流戦   西武3-0巨人 ( 2022年6月8日    ベルーナD )

<西・巨>アンダースローからのガッツポーズで笑顔を見せる与座(左)とオグレディ
Photo By 代表撮影

 サブマリンが快投を演じた。西武・与座海人投手(26)が8日、巨人戦で6回まで完全投球。7回を1安打無失点で4勝目を挙げた。唯一の走者を許した7回も併殺で終え、救援の平良、増田も1イニングを3者凡退で抑えたため、巨人打線を「27人斬り」。チームの9回試合で打者27人、被安打1以下に抑えた試合は、いずれも完全試合の過去2回に次ぎ、56年ぶり3度目の快挙となった。

 最速133キロしか出なかった与座が、なぜ巨人打線を抑えることができたのか。「浮き球」と「クイック」。120キロ台も散見された直球の球速を補った。

 まずは下手投げからの球筋で打者を幻惑した「浮き球」。「ベルト付近の球が打者は打ちやすい。そこを除いた高めと低めを意識した」。7回までの93球のうち、実に65%の60球も高めに投じて芯を外した。辻監督の「今年の野球は、高めをストライク取られる」という見立てもあった。

 6回まで完全投球。7回先頭の吉川に中前打された。ナインが集まり山川から声を掛けられた。「ノーヒットノーラン狙ってたんか?」。思わず噴き出した。「狙ってません」。顔もほころび力が抜けた。1死後、丸を二ゴロ併殺。これも高めのスライダーだった。

 もう一つ、「フォームに緩急を加えた」と語った。2・5秒かけて投げたかと思えば、走者がいなくとも1・7秒のクイック。投球間隔や足を下ろすタイミングに変化を付けた。球団OBの牧田和久(現台湾・中信兄弟)に自主トレで学んだ、打者にフルスイングさせない工夫だった。

 ユニホームの右膝は重ね縫いされている。下半身を沈ませると土にこすれ、汚れが調子のバロメーターになる。過去に札幌ドームのマウンドの印象を「痛い」と言い、笑わせた。砂の粒が大きく硬いという。この日の試合後は濃い茶色だった。

 沖縄尚学では控えのサイドスロー。先輩であるソフトバンク・東浜は今季無安打無得点を達成し、前日はDeNA・今永だった。自身は「(無安打無得点達成を)経験したこともない。まあ、いつか打たれるだろう」と思いながら7回1安打無失点。打者21人で自己最多4勝目を挙げた。

 8、9回を平良、増田も3者凡退の「準完全リレー」を完成させた。与座は「あ!本当ですね。そうか…。良かったです」と、試合後も「打者27人」には気づいていなかった。(神田 佑)

 《今季4度目1安打以下完封勝利は球団新》西武が9回試合で9イニングを打者27人、被安打1以下に抑えた試合は、ともに西鉄時代で完全試合だった58年7月19日東映戦と66年5月12日南海戦に次ぎ56年ぶり3度目だ。また、チームの1安打完封は4月20日ロッテ戦以来今季4度目。西武でシーズン4度の1安打以下完封勝利は西鉄時代の56年の3度を抜く球団新記録になった。

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2022年6月9日のニュース