伊東勤氏 エンゼルスに「大谷ルール」活用へ3つの提言

[ 2022年5月3日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス6ー5ホワイトソックス ( 2022年5月1日    シカゴ )

<ホワイトソックス・エンゼルス>試合前、股関節を気にする仕草を見せる大谷(撮影・光山 貴大)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(27)が1日(日本時間2日)、ホワイトソックス戦に「3番・DH」で出場し3打数無安打、1打点。7回走塁で右股関節の張りを訴え、9回打席で代打を送られた。チームは首位を快走しているが、股関節は投球に大事な箇所で今後の登板予定が白紙となる可能性も。本紙評論家で監督経験が豊富な伊東勤氏(59)が降板後もDH出場が可能な「大谷ルール」を最大限に活用して一年を乗り切るため、3つの提言を行った。 

 大谷は登板前日でもDHでのフル出場が続いている。3度目の先発の前日、4月19日のアストロズ戦は「1番・DH」。6回の4打席目は6点リードだった。同26日のガーディアンズ戦も「2番・DH」。4点差の8回に4度目の打席に入った。“ある程度の点差がある”という条件付きだが、4打席目以降は基本的にお役御免でいいのではないか。早めに試合を退くだけで精神、肉体的にもリフレッシュできるものだ。

 大谷の開幕戦を見て正直、心配になった。初回表、2死一、二塁のピンチを切り抜け、ベンチで慌ただしく打席の準備をする。それこそ汗をふく時間もなく、息も荒いまま打席に立ち、遊ゴロに終わった。ビジターの場合は投げる前から打席に入る。3度目の先発となった20日のアストロズ戦では1番で四球。打順が1巡して2打席目は適時二塁打。体への負担は尋常ではない。今は2番が多いが初回から打席に入るのは同じ。9番とは言わないが、初回に落ち着いた形でマウンドに立たせるため、打順はせめて6番以降としたい。

 大谷は出塁すれば盗塁でチャンスを広げられる、最高のランナーでもある。どこで走るかはグリーンライトで自身の判断に任されているが、ここでも負担を軽減したい。登板時だけは盗塁はベンチのサインとするなど制限をかけていいと思う。必要であれば「GOサイン」を出せばいい。疲労を軽減し故障のリスクも大幅に減らせると思うがどうだろう。

 以上が私からの3つの提言。大谷は28日の前回登板翌日のガーディアンズ戦は休養した。今後も可能なら登板翌日の休養が望ましい。大谷は「出たい」し、ファンも「見たい」が、シーズンを通して二刀流で躍動する姿を見るため、起用法を見直す分岐点であるように思う。(本紙評論家)

 ▽大谷ルール 打順に入った先発投手が降板後もDHで出場を続けられる新ルール。今年3月に大リーグ機構と選手会が合意し、今季から導入された。昨季までならDHを解除して投手で出場し、降板後は外野に回るなどの必要があった。昨年の球宴でも大谷は同様のルールで「1番・DH兼先発投手」で出場。新ルール導入は大谷の活躍が呼び水となり、二刀流選手を増やそうとの狙いがあるという。

 【大谷のメジャーでの故障歴】☆右肘 18年6月8日に 「右肘内側側副じん帯損傷」で自身初の故障者リスト(DL)入り。PRP(多血小板血しょう)注射による治療などを受け、7月3日のマリナーズ戦で打者として復帰。

 ☆右肘手術 18年9月2日のアストロズ戦で投手として復帰も、同5日の精密検査で右肘じん帯に新たな損傷があることが判明。腱移植手術(通称トミー・ジョン手術)を勧告され、シーズン終了後の10月1日に手術を受けた。

 ☆右膝手術 19年9月13日に左膝の分裂膝蓋(しつがい)骨の手術を受ける。全治8~12週間で、同年のシーズンが終了。

 ☆右肘 20年7月26日のアスレチックス戦で右肘手術から1年10カ月ぶりに投手として復帰も、8月3日に右肘付近の屈筋回内筋痛と診断される。同年中の投手としての復帰は消滅。大谷は「来年の頭からしっかり投げられるように」と話した。

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