阪神・近本『矢野さん、監督やめるってよ』 一日キャプテンが禁断!?の“監督いじり”で盛り上げた

[ 2022年2月11日 05:30 ]

<阪神宜野座キャンプ>一日キャプテンの近本はシャツに矢野監督をいじるメッセージを書き込む(撮影・大森 寛明)
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 阪神は10日に沖縄・宜野座キャンプ第3クール初日を迎え、選手会長の近本光司外野手(27)が禁断?の“監督いじり”で盛り上げた。一日キャプテンとして「矢野さん、監督やめるってよ」と書いたTシャツを着て朝のあいさつ。今季限りでの退任を表明している矢野燿大監督(53)は歓迎し、チームの明るさを印象付けた。

 NGワードにあえて触れて笑いに変えるとは、芸人並みの高等テクニックだ。蛍光イエローのTシャツに意気込みを書き、着用して練習前に全員の前でスピーチをする恒例の「一日キャプテン」。第3クール初日を任された近本はフェルトペンで「矢野さん、監督やめるってよ」と記した。

 「これ使っていいのかなあ、でも、どうしようって、20分くらい考えながら書きました」

 映画化もされた朝井リョウの有名小説「桐島、部活やめるってよ」のオマージュだ。いじりの矛先が矛先だけに場が凍り付いてもおかしくなかったところ。今の阪神には部活的な明るさがあるようで、笑顔の花が咲いた。

 矢野監督が今季限りでの退任を公表したのは、キャンプイン前日の1月31日の全体ミーティングでのこと。超異例の事態に世間では賛否が巻き起こった。

 百北幸司球団社長は「騒ぎ立てず、球団が野球に打ち込める環境づくりにご協力を」と報道陣に要請するなど、後任人事を含めて“タブー案件”の空気があった。一転、選手会長が率先して切り出したことで、退任表明が猛虎に影を落としていないことを内外に証明した。

 当の矢野監督が「俺をイジっているだけでしょ。俺はそういうチームをつくりたい」とうれしそうだ。就任以来、自主性を訴え続けただけに選手発のユーモアを大歓迎した。

 もっとも、近本は笑いを狙ったわけではない。仲間には「監督が辞めると聞いても、やることは一緒。自分たちがうまくなるように、しっかり考えて練習するだけ」と伝えた。リーダーの硬軟織り交ぜたメッセージで、チームの連帯は高まった。ただ、元ネタ小説を知らないコーチ陣からは「近本、ドライやな」と逆にいじられ、「こうやって炎上していくのかな」とオチを付けた。(倉世古 洋平)

 ▽矢野監督の退任表明 キャンプインを翌日に控えた1月31日の全体ミーティングで選手、スタッフらに「今シーズンをもって退任しようと思っている」と決意表明。オンラインで対応した報道陣にも「来年は監督という立場でここに来ていることはない」と明かした。

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