大野豊氏 阪神・大山がヤクルトに与えた一撃は大きかった 課題は先発陣、早く先行逃げ切りの形に

[ 2021年9月9日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神5-3ヤクルト ( 2021年9月8日    甲子園 )

<神・ヤ(17)>6回2死一塁左越えに勝ち越し2ランを放つ大山(投手・大下)(撮影・成瀬 徹)
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 【大野豊 視点】ヤクルトが小川を代えるとは思わなかった。相性(試合前の時点で今季の大山は小川に4打数3安打、大下に4打数無安打)もあり、小川の速球より大下のスライダーの方に分がある、とヤクルト側が考えたのだろう。小川が5回に四球後の初球直球をロハスに同点本塁打されていたことも判断に影響したかもしれない。

 ただ、小川はエース格の投手だ。胸中を想像すれば、たとえ大下が抑えていても複雑だ。打たれたのだから余計に複雑だろう。その意味でも、大山の本塁打が与えたダメージは大きい。大下は狙い通りのスライダー攻めでカウント1―2へ追い込み、優位に立ちながら決めきれなかった。阪神はやはり大山が打てば士気が上がる。

 先の巨人戦から逆転勝利が多い。逆に言えば、先行を許す展開が続いている。阪神の本来の形は先行逃げ切りだ。先発陣が特に序盤をしっかり抑え、攻撃陣が先制していく形を早く取り戻したい。

 2回の伊藤将は村上に許した不運な二塁打の後、オスナとサンタナに外角ツーシームをうまく打たれた。初回は制球よく外角に投げ込んで塩見、山田を打ち取った武器だ。打たれたからといって、自分の良さを消すことはない。幅が狭まる。“うまく打たれたのだから仕方ない”という切り替えも必要だろう。

 どのチームも6、7回を任せる投手に課題がある。阪神は小川が最近の数試合で結果を出し、及川も起用法から期待の高さが伝わる。継投の人選、タイミングが今後の優勝争いで大きな鍵を握りそうだ。

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