智弁学園・前川 岡本和ばりにバックスクリーン左へ甲子園初アーチ 通算32打席目「やっと打てた」

[ 2021年8月22日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会 2回戦   智弁学園5-0横浜 ( 2021年8月21日    甲子園 )

<智弁学園・横浜>6回無死一塁、智弁学園・前川は中越え2ランを放ち、一塁を回りガッツポーズ(撮影・坂田 高浩)
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 2回戦4試合があり、智弁学園はプロ注目の左の強打者、前川右京外野手(3年)が自身甲子園初本塁打を放つなど3安打4打点の活躍で横浜との強豪対決に快勝した。

 鋭い金属音が甲子園を支配した。横浜の外野陣はすぐに追うのをやめた。バックスクリーン左のカメラ席に打球が飛び込むのを確認し、智弁学園の前川右京はこぶしを突き上げた。自分に厳しいスラッガーが飛びきりの笑顔を見せた。

 「真っすぐに狙いを張って、ヘッドを走らせて打つことができた。甲子園のバックスクリーンへ打つことがなかなかできなかったけど、やっと打てた」

 4回1死満塁では、あと数十センチでグランドスラムとなる、中堅フェンス直撃の2点打。打ち直しとばかり、追加点が欲しい6回無死一塁、3ボールから2番手・田高康成の外角の真っすぐを振り抜いた。会心の2ラン。高校通算36号は、昨夏の交流試合も含め通算7試合32打席目での甲子園初アーチとなった。

 この日をイメージしOBで巨人の4番・岡本和真から譲り受けた木製バットで素振りを続けた。「岡本は3年の選抜でバックスクリーンの右に放り込んだ。右京は左に行ったれ」の小坂将商監督の言葉も胸に刻んだ。そのために一球で仕留める集中力とともに「可動域を広げて、体を大きく使うスイング」に取り組んだ。1回戦から10日ぶりとなった一戦も、春先から苦しんだ脇腹の張りの回復にはプラスに働いた。

 「横浜は1年生が多いチーム。負けてたまるかの気持ちはあった。相手をつぶしていけば日本一に近づくと考えていた」

 1年から4番を任され多くの壁にぶつかり、越えてきた自負がある。7回の守備では左翼からのワンバウンドのストライク送球で本塁生還を阻止し零封勝利にも貢献した。

 津田学園で甲子園を経験した2歳上の兄・夏輝さんから5月の誕生日に打撃手袋を贈られた。右手には「夢」、左手には「叶える」の文字が刺しゅうされている。頂点への挑戦は続く。 (鈴木 光)

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