燃える花巻東魂 5日の雄星vs大谷メジャー「同窓対決」にOBが刺激、現在地と今後への思いとは

[ 2021年6月8日 06:10 ]

渡米前に旧交を温めた大沢(左)と大谷
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 2年ぶりにメジャーの舞台で実現したマリナーズ・菊池雄星投手(29)とエンゼルス・大谷翔平投手(26)の花巻東の「同窓対決」に、心を躍らせたOBたちがいる。大谷と同期で当時主将のトヨタ自動車東日本・大沢永貴内野手(26)と今春東大に入学した大巻将人外野手(20)だ。それぞれの現在地と、今後に懸ける思いを聞いた。

 ≪トヨタ自動車東日本・大沢永貴内野手「自分も楽しんでやりたい」≫大沢は前日の16号アーチに感嘆するとともに、3年間一緒に汗を流した仲間として、大きな刺激を受けた。

 「今年の翔平は特に楽しそうにやっている。凄くいい笑顔でプレーしている。自分も楽しんでやりたい」

 同校ではともに下級生から主力でプレーし、2年夏、3年春の甲子園に出場。大谷については「スイッチの入り方が人とは違う。漠然と練習するタイプではない。投手での1球、打者での一振り一振りにも意図があった」と感じていたという。一方で、グラウンドを離れれば普通の高校生で「翔平は仲間といるのが好きなタイプ。寮の部屋に集まって折り畳み式のDVDプレーヤーの小さい画面で“マネーボール”とかよく映画を見ていた」と懐かしんだ。

 大沢は筑波大を経て、社会人5年目の今季から主将に就任。花巻東では主に二塁を守ったが、現在は三塁や遊撃を務めている。打撃のアドバイスを求めると「シンプルにしっかりバットを振るだけ」と大谷らしい豪快な答えが返ってきたこともあったという。

 同校野球部同期は大学、社会人で野球を続ける仲間が多かったが、今や第一線でプレーする現役選手は大沢と大谷の2人だけだ。「翔平よりも長く、現役を続けたい。そこは勝ちたい」。遠く離れていても、互いに切磋琢磨(せっさたくま)して、それぞれの舞台で輝く。(柳原 直之)

 ◇大沢 永貴(おおさわ・えいき)1994年(平6)8月8日生まれ、岩手県出身の26歳。花巻東で2年夏、3年春の甲子園出場。筑波大では副主将。トヨタ自動車東日本では18年に都市対抗野球出場。1メートル70、75キロ。右投げ左打ち。 

 ≪東大文科2類・大巻将人外野手「僕は文武両道で」≫花巻東から2浪の末に東大文科2類に合格した大巻は、東京六大学リーグ戦デビューを目指して練習に励む。東大進学は同校史上初。快挙を知った大谷から外野用グラブをプレゼントされた。

 「練習ではまだ使っていません。試合に出られるようになってから使いたいです」

 浪人中も時間を見つけては素振りやランニングをこなし、受験勉強と両立。4月27日から東大の練習に合流し「ボールを投げたり打ったりする感覚は高校時代に比べたらほど遠い。一つ一つ取り戻したい」と、まずは体づくりから始めている。

 大谷とは面識はないが「偉大な先輩で、野球界の先陣を切った方。僕は文武両道で活躍できるようにと思っている。僕が頑張ることで岩手の高校生が刺激を受けてくれればうれしい」と、勉学と野球の二刀流で勝負。米国から遠く離れた神宮の杜で、大谷グラブを手にフィールドに立つ。(川島 毅洋)

 ◇大巻 将人(おおまき・まさと)2000年(平12)9月10日生まれ、岩手県出身の20歳。小3で野球を始め、一方井中では盛岡姫神リトルシニアに所属。花巻東では3年春に東北大会出場。1メートル65、65キロ。右投げ左打ち。

 ≪“同窓対決”07年PLも≫大リーグで日本選手の同窓対決は、他に07年7月16日のパイレーツ―ロッキーズ戦で実現した桑田真澄と松井稼頭央のPL学園OBの対戦のみ。わずか1打席で、二ゴロだった。菊池と大谷の対戦は19年にも3試合で実現し、今回が2年ぶり4試合目。通算10打席で9打数4安打(打率・444)、2本塁打2打点、3三振、1四球となっている。

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