歴代1位の勝率・735「負けないエース」楽天・マー君 3つの“勝つ力”

[ 2021年4月25日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天2―1西武 ( 2021年4月24日    楽天生命 )

<楽・西>日本通算100勝目を挙げた田中将(撮影・白鳥 佳樹)
Photo By スポニチ

 日本球界復帰後、初勝利を挙げ通算100勝以上の投手では歴代1位の勝率.735となった楽天・田中将大投手(32)。勝利を重ねてきた3つの理由を、プロ1年目、メジャー移籍時も取材した春川英樹野球担当デスク(46)が読み解く。

 何よりの勲章だ。日米通算100勝だった14年のメジャー移籍後初勝利を挙げたカナダ・トロントで、田中将はこう言った。「もっと早くやっとけよって感じ」。だが、NPB通算勝率・735の数字には、強い思い入れがある。「負けないエース」をつくり上げた力を3つ挙げる。

 《1.俯瞰力》プロ入り前から第三者的に自分を捉えてきた。「一歩引いて、そういうふうに自分を見ていることが多い」。常に他人の目に映る自身の在り方を意識。小学校時代から高2まで経験した捕手も俯瞰(ふかん)力を養う一因だった。楽天時代に薫陶を受けた野村克也監督の「評価は他人がするもの」という言葉を、今でも度々使う。同じ考えを持っているからこそ。一方で集中力が上がらない時は、自分の胸や肩を拳で叩き、気合のスイッチを自在に操る技術も持っている。17日の復帰初戦のプレーボール直前も、体を叩いた。

 《2.選択力》日本でシーズン不敗伝説をつくり上げてメジャー移籍。だが、米国の最初の2年は直球を痛打された。1、2年目は20%以上だった直球を、3年目はわずか6・7%に抑えてツーシームを代用。直球へのこだわりを抑え、より現実的に勝つ投球を優先。7年間での78勝は、同期間のヤ軍投手では最多。メジャー全体では14位の一方、勝率・629は全体9位だった。この日も前回痛打された直球を抑え、変化球主体で結果を最優先した。

 《3.エース力》楽天時代、野村監督が田中将のキャッチボールを眺めながら言った言葉がある。「マー君のキャッチボール見てみい。あの子はキャッチボールの一球から“勝ちたい、勝つぞ”と思って投げている。そういうのがチームに伝わるもんや」。名将はエースについて「チームのかがみ」「勝つ執念をどれだけ持っているか」と表現。田中将もそんな野村監督の外角低めの直球「原点投球」などを磨き成長した。

 プロ入り直前の06年12月。北海道・駒大苫小牧で田中将と初めて対面した。「勝てる投手を目指したい。チームに勢いを与えたり流れを呼び込むことができるピッチャー。そういうピッチャーになれればいい」。18歳当時の言葉を有言実行。信念の強さも、田中将の力だ。(春川 英樹)

 《日米通算178勝》田中将(楽)の日本での勝敗は、100勝36敗となり、勝率は・735。日本通算100勝以上の投手では、藤本英雄(巨)の・697を上回る歴代1位だ。この日勝った楽天生命では勝率が・773(58勝17敗)とさらにアップ。同球場での白星は則本昂(楽)の47勝を抑える最多だ。なお、メジャー通算は78勝46敗で、日米通算は178勝82敗になった。

続きを表示

この記事のフォト

2021年4月25日のニュース