「ノムラの教え」を継ぐ昌平・黒坂洋介監督―甲子園へのあと1歩を勝ち取るために―

[ 2021年4月25日 19:10 ]

春季高校野球埼玉県大会 2回戦   昌平7―5狭山清陵 ( 2021年4月25日    大宮公園 )

ベンチで試合を見つめる黒坂監督(撮影・柳内 遼平)
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 昌平は春季高校野球埼玉県大会2回戦に臨み、今秋のドラフト候補に挙がる外野手・吉野創士(3年)が先制2ランを含む2安打2打点の活躍でチームをけん引し、狭山清陵を7―5で下した。

 現役時代はシダックスで外野手としてプレーし、当時の野村克也監督から指導を受けた黒坂洋介監督は「初戦なので内容よりも勝てばいいかなと。絶対的な強さはないので」と試合を振り返り、吉野については「練習試合で調子は上向きではなかったが、本番に強い子なので心配していなかった」と話した。

 チームは着実に力をつけている。黒坂監督が指導者の道へ進む際、名将から継承した「野村ノート」を元にカウント別の打撃や相手のレベルに合わせた攻撃パターンなどをマニュアル化。その上で、自主性を選手に求める指導で実力を伸ばし、花咲徳栄や浦和学院といった強豪がひしめく埼玉で上位進出を重ねている。昨夏の独自大会は準優勝、新チームとなった秋は関東大会に出場した。

 甲子園へ手の届く位置まで来ている。“今年こそは”の1年がスタートしたが、練習試合を行った際、守備の球際や打席での粘りのなさに指揮官は大切なことを再認識したという。「コロナによる自粛であまり練習ができなかったこともあり、僕自身も“野球、野球”にいきすぎてしまった。もっと大切な部室の掃除や私生活、野球だけじゃないところも目を配ってやろうと。ここぞという場面で力を発揮できるような取り組みをしていきたい」。選手とミーティングを重ね、人間力を高める昌平高校野球部としての基本に立ち返った。

 春季大会の初戦は圧勝とはいかなかったが、昌平らしい粘り強い野球で競り勝った。「久々にお客さんの入った大会。選手もだが、私も緊張している。上を見ず、一戦一戦、色々な経験をしたい」。試合中と変わらないおだやかな目で語った。(柳内 遼平)

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2021年4月25日のニュース