天理・達が4強に導いた164球 粘って8回3失点「4回から8回まで全部気持ちで投げました」

[ 2021年3月30日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第9日第1試合 準々決勝   天理10ー3仙台育英 ( 2021年3月29日    甲子園 )

<天理・仙台育英>8回3失点の投球を見せた天理・達(撮影・大森 寛明)
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 本調子でなくてもマウンドを守るのがエース。27日に17歳となった天理の達孝太は8安打を浴び8四死球と制球にも苦しみ毎回走者を背負う苦しい展開。それでも、リードだけは許さず今大会最多164球で8回3失点と粘り2日遅れで自らのバースデーを祝った。

 「(4回に)4点取ってもらって、うまく気持ちのスイッチを上げられた。4回から8回までは全部気持ちで投げました」

 初回、2者連続三振スタートも「ギアを上げすぎて入り方を間違えた」と3者連続四死球で満塁。何とか切り抜けたが、3回に同点とされた。ただ、流れを渡さないのが中村良二監督が口酸っぱく言う“エースたるもの”の自負。6回終了時に8点リードとなり交代を打診されたが「次に備えてもう少し投げたい」と続投志願。7、8回は制球を重視した投球を見せ、9回だけは仲川一平に任せた。

 夢はメジャーリーガーだ。中学2年時に参加した野球教室のブルペン投球で圧倒されたのが、その後に16歳でロイヤルズとマイナー契約した1学年上の結城海斗。高校入学直前の3月にはイチロー(当時マリナーズ)の“引退試合”を東京ドームで観戦。無数のフラッシュを浴びるスーパースターに感化された。最高峰を目指すだけに「9回無失点で1安打1四球以内が理想」。自己採点は「0点」と超激辛だった。

 1週間500球以内の球数制限も問題なく準決勝では202球まで可能。97年以来の優勝まで、あと2勝。86年夏に選手として全国制覇した指揮官は言う。「こういう経験をして選手は伸びる」。頂点への風は確実に吹いている。(北野 将市)

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