中京大中京・畔柳が2度目の完封 準決勝の「リミット」は121球「投げられるだけ投げ抜く」

[ 2021年3月30日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第9日第4試合 準々決勝   中京大中京6ー0東海大菅生 ( 2021年3月29日    甲子園 )

<東海大菅生・中京大中京>6回1死一、二塁、福原(2)を投ゴロ併殺に仕留める中京大中京・畔柳(撮影・北條 貴史)
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 歯を食いしばった。声も出した。中京大中京のエース畔柳亨丞は圧倒的な力で試合を締めくくりに入った。「9回に(相手に)流れを持って来させないようにギアを上げた」。3つの四球で2死満塁こそ招いたが、渾身(こんしん)の真っすぐで最後の打者を中飛に仕留めると、最高の笑顔に変わった。

 25日の1回戦から2試合続けて中1日での先発。「疲労があって逆に、いい力感で投げることができた。そこが安定した投球につながった」。先取点をもらった直後の初回にこの日の最速148キロを計測したが、以降は力の配分を考え緩急を意識した。5回まで無安打投球。球速は落としても安定感は最後まで失わなかった。

 2度目完封に要した球数は138で1、2回戦と合わせ計379球。出場32校最後の登場で、準決勝は25日の1回戦からちょうど7日目。「1週間500球以内」の球数制限を考えれば、継投に入る手もあったが、高橋源一郎監督は信念を持って決断を下した。「次戦とかでなく、今日の試合に勝利を収めるには何を最優先するか」といい相手を最後まで勢いづかせないことを選択。「将来もあるので無理なら投げさせない。500球が高校生の基準になっている。その枠内なら投げる体力はある子」。疲労を見極め能力を信じた。

 準決勝で投球可能な球数は121。指揮官が継投を明言する中、エースは「限られた球数の中になるが、投げられるだけ投げ抜くつもりです」と決意を口にした。66年以来の頂点に向け、訪れた試練。畔柳は見えない相手とも戦う。(桜井 克也)

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