日本ハム中田、史上初の開幕延長サヨナラ満弾 連続敬遠で燃えた「なめてんのかなと」

[ 2019年3月30日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム7―3オリックス ( 2019年3月29日    札幌D )

10回2死満塁、中田がサヨナラ満塁本塁打を放ち声を張り上げる(撮影・西海健太郎)
Photo By スポニチ

 プロ野球は29日、セ・パ両リーグが開幕し、日本ハムの中田翔内野手(29)がオリックス戦の同点で迎えた10回1死満塁から左中間へサヨナラ1号満塁弾を放った。開幕戦でのサヨナラ満塁弾は史上3人目だが、延長では初。平成元年の89年に生まれた主砲が平成最後の開幕戦でど派手なパフォーマンスを見せ、劇的勝利に導いた。

 叫んだ。しびれた。観衆4万1138人のスタンドが揺れた。耳をつんざく大歓声が心地よかった。平成生まれでは最多の通算203本目のアーチは、平成最後の開幕戦で劇的なグランドスラムとなった。本塁に戻った中田はヘルメットを投げ、歓喜の輪の中でウオーターシャワーを存分に浴びた。

 「ベンチに座っている段階から申告敬遠は2人連続であると思っていたけど、実際目の前で見て…なめてんのかなと思った。凄く気合が入った」

 予想はしていた。「併殺の可能性が高い自分で勝負してくる」。延長10回1死三塁でベンチを出たオリックス・西村監督は2本指を出していた。西川、近藤が歩かされ、4番の闘志がめらめらと燃え上がった。前打席まで4打席凡退。「犠飛じゃなく一発を狙いました」。目の前で屈辱的な出来事が起きても頭は冷静だった。カウント1―1から左翼ファウルゾーンへ打ち上げたが、左翼手は犠飛に十分な距離があると思って見送った。「捕る場面じゃないと頭を切り替えていた」。カウント2―2から直球を強振。「打った瞬間だった」と弾丸ライナーで左中間へ運んだ。

 試合前日のミーティング。中田はナインを前に言った。「誰がリーダーとか主将とか関係ない。一人一人が同じ方向を向けばチームは強くなる」。その後、マルティネスが「こんなにいいチームはない。みんなでハワイ旅行を目指して頑張りましょう」と話すとナインは笑いに包まれた。主将2年目の中田がつくり出すムードの良さが表れていた。

 プロ12年目で初の開幕アーチが、自身初の満塁サヨナラ弾。しかも、開幕戦の延長で飛び出したのは史上初となった。チームに4年ぶりの開幕戦勝利をもたらした4番に栗山監督も「見た目以上に真面目なところがある。何とかいいスタートを切らせてあげたいと思っていた」と喜んだ。

 平成元年生まれの怪物は「いい流れで最後まで突っ走りたい。監督を信じてやるだけ」と言った。昨年9月に起きた北海道胆振東部地震の復興元年。「北海道に優勝を届けたい」と誓う4番が北の大地を熱くする。 (東尾 洋樹)

続きを表示

2019年3月30日のニュース