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野球という仕事 田嶋大樹にライバルはいらない

力投する田嶋
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 【君島圭介のスポーツと人間】10月26日。田嶋大樹は所属するJR東日本が用意した記者会見場にいた。清宮幸太郎(早実)の話題一色に染まったドラフト会議。田嶋はテレビモニターで中継を見守っていた。

 1メートル82の長身左腕から繰り出す最速は152キロ。スライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップ、フォークと多彩な変化球も駆使する。今年の都市対抗野球(東京ドーム)で2試合連続完封を飾る前から、アマチュアナンバーワンの評価があった。

 「千葉ロッテ、清宮幸太郎。東京ヤクルト、清宮幸太郎……」

 田嶋は表情を動かさず、テレビ画面を見つめていた。4球団目の中日が中村奨成(広陵)を指名。次がオリックス。田嶋の1位指名を公言していた球団だ。

 「田嶋大樹、投手、JR東日本」

 会見場に拍手が起きた。田嶋はごくりと唾を飲み込み、背筋を正した。清宮は7球団の競合の末、日本ハム。田嶋は西武との競合となったが、オリックスが交渉権を獲得した。

 「とてもうれしいです。選んでいただいて感謝します」

 表情は変らない。テレビのドラフト中継画面は、まだ清宮争奪戦の熱気を伝えていた。

 即戦力左腕はどの球団も欲しい。今永、石田、浜口、さらに砂田、田中健、エスコバーと左腕王国となりつつあるDeNAは1位で大学ナンバーワン左腕・東克樹(立命大)を単独指名。ラミレス監督は「左投手がもういらないと思ったことは一度もない」と言った。2分の1の確率で田嶋を獲得できたオリックスは、今ドラフト最高の勝ち組だろう。

 ――対戦してみたい打者は

 「いません。目の前の打者からアウトを取ることを心がけたい」

 ――目標とする投手は

 「いません。独自のスタイルを貫きたい」

 冷静で感情の高ぶりのない若者なのかというと、そうではない。「(抽選まで)緊張で頭がいっぱいでした」と振り返り、カメラマンに笑顔を求められると頬を緩ませた。乃木坂46や襷坂46が好きという、ごく普通の21歳だ。

 佐野日大時代は「プロで投げる姿がイメージできない」とプロ志望届を提出しなかった。安楽(現楽天)らがドラフト会議で指名を受けるのを「お客さんの状態でただ見ていた」という。

 対戦したい打者も目標とする投手もいない理由。田嶋は「人と比べるのが好きじゃない。目標は決めない。自分で限界を作らずに自分を磨いていきたい」と説明した。

 ドラフトの主役が清宮なんて周りが決め、勝手に騒いでいるだけ。田嶋は少しも意識していなかった。自分の理想は自分が描く。自分が描くから高い。3年前にはイメージできなかったプロでの姿。社会人の3年間で成長した今は、はっきり浮かんでいる。そこにいる自分は誰よりも強く、たくましい。(専門委員)

 ◆君島 圭介(きみしま・けいすけ)1968年6月29日、福島県生まれ。東京五輪男子マラソン銅メダリストの円谷幸吉は高校の大先輩。学生時代からスポーツ紙で原稿運びのアルバイトを始め、スポーツ報道との関わりは四半世紀を超える。現在はプロ野球遊軍記者。サッカー、ボクシング、マリンスポーツなど広い取材経験が宝。

[ 2017年11月4日 10:00 ]

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