広島M1も9日Vなら胴上げなし 15日本拠・巨人戦後に実施へ

[ 2016年9月9日 05:51 ]

<広・中>2回2死一、三塁、新井の左前適時打に沸くマツダスタジアムの広島ファン

セ・リーグ 広島7―4中日

(9月8日 マツダ)
 地元Vならずも、M1!25年ぶりのリーグ優勝へマジックナンバーを2としていた広島は8日、中日と対戦し、2回に石原慶幸捕手(37)の決勝二塁打などで一挙5点。マツダスタジアム史上最多となる3万2546人の大観衆の前で4連勝を飾った。しかし、2位・巨人が阪神に逆転勝ちしたため、90年の巨人に並ぶ史上最速優勝(2リーグ制以降)は逃した。9日は試合がなく、巨人がヤクルトに敗れれば優勝決定。東京で歓喜の瞬間を待つ。

 四半世紀ぶりの胴上げを見ようと、マツダスタジアムには09年の開場以来最多となる3万2546人が集まった。マジック2で臨んだ一戦。バックスクリーンの大型ビジョンには甲子園の途中経過が流れ、巨人の1点劣勢が伝えられると、場内から割れんばかりの拍手が湧き起こった。1球が投じられるたびに歓声が上がり、ベテランの新井も「いつもとは違う雰囲気」を感じたという。

 真っ赤に染まったスタンドの後押しを受け、広島打線が火を噴いたのは2回だ。鈴木の右前打、梵の四球で1死一、二塁。ここで石原はジョーダンの内角低めのスライダーを振り抜くと、鋭い打球は三塁線を破った。勝ち越し二塁打に「皆がつないでくれた好機だったし、今日はどうしても勝ちたかった」。これで一気に火が付いた。

 9番・野村が中前に落ちる適時打で続くと、田中が右前適時打。さらに丸の遊ゴロの間に4点目を奪うと、仕上げは4番・新井だ。2番手・佐藤の外角低めフォークを叩いた打球は三遊間を抜けた。リーグ独走の98打点目に「追い込まれていたので、何とか食らい付いた」。打者一巡6安打5得点で、球場は一気にヒートアップした。

 しかし、7回の攻撃中に、甲子園で巨人・坂本の逆転3ランが飛び出した。そのまま勝利したため、地元での胴上げはならず、90年の巨人に並ぶ史上最速優勝も消えた。それでもチームは4連勝で、正真正銘の王手。新井は「ファンも期待してくれたが、こればかりは」と淡々と受け入れ、緒方監督も「今日も我々の野球ができた。(本拠地で)優勝はできなかったけど、ファンの皆さんには喜んでもらえたんじゃないかな」と柔和の表情で話した。

 9日は試合がなく、10日からの巨人戦(東京ドーム)に備えてチームは上京。ナイターでのヤクルト―巨人戦(神宮)は宿舎の食堂でテレビ観戦する。優勝が決まった際、宿舎などでの胴上げは行わず「(地元の)みんなに見てもらって」(野平眞広報室長)と、マツダスタジアムに戻る15日の巨人戦後にペナントの贈呈式とともに実施する。

 「こればかりは、自分たちではどうしようもないけど、ここまで来たら自力も他力もない。勝って決めたいね!」

 新井の本音は巨人に勝ってのグラウンドでの優勝決定だが、25年ぶりの歓喜はもう目前。広島のファンもナインと同じ思いでその瞬間を待つ。

 ▽80年広島の新幹線車中V 同年10月17日に優勝マジック2でデーゲームの阪神戦(甲子園)に6―3で勝利。2位ヤクルトが、ナイターの中日戦(神宮)で1―4で敗れて優勝が決定。ナインはリーグ2連覇の知らせを広島へ帰る新幹線の車中で聞いた=写真。午後10時29分、広島駅に到着すると約5000人の市民が出迎え、歓喜でナインはもみくちゃとなった。広島の過去6度の優勝のうち、マジック対象チームが負けての優勝決定はこの一度だけ。

 ≪試合なく優勝決定なら12年日本ハム以来≫首位の広島と2位の巨人がともに勝ち、広島の優勝マジックは1となった。9日は広島の試合がなく、2位巨人がヤクルトに敗れれば広島の優勝が決まる。試合がない日に優勝決定なら12年日本ハム以来、セ・リーグでは10年中日以来6年ぶり。広島は初めてになる。90年巨人と並ぶ9月8日の最速Vはならなかったが、14日までに決まれば03年阪神の15日を上回り単独2位の早さとなる。

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