坂本 自身初の代打弾 90年巨人に並ぶ広島9・8最速Vを阻止

[ 2016年9月9日 05:36 ]

<神・巨>8回1死一、二塁、代打・坂本は左越えに逆転の3ランを放つ

セ・リーグ 巨人3―1阪神

(9月8日 甲子園)
 強さ、格好良さ、そして憎らしさもヒーローの条件だ。約300キロ離れたマツダのカープファンと、甲子園の虎党のため息を呼ぶ代打逆転21号3ラン。巨人・坂本が放ったプロ10年目で初めての代打弾が、広島の本拠地胴上げを阻んだ。

 「広島のことよりも僕らは一戦一戦という気持ちで戦うしかない。試合に出られていなかったので、一振りでチームに貢献できてよかった」

 4日の中日戦(東京ドーム)で左膝内側付近に当てた自打球の影響で3試合連続先発を外れたが、1点を追う8回に最高の場面で出番が訪れた。1死一、二塁から代打で登場。ここで、2回以降無安打に抑えられた青柳に代わって藤川がマウンドに上がった。2―2から130キロのフォークボール。外角に高く抜けた球を、ポール際に引っ張った上に、フェンスの向こうまではじき返した。「ちょっと合わせた感じだったのでどうかなと思ったけど、入って良かった」。7回1失点と好投し、その直前に代打・長野を送られた内海にも8勝目をプレゼント。「いいピッチングをしていたので何とかという気持ちで、最高の結果になった」のセリフも決まりすぎだ。

 打率・348でリーグトップを快走中。12年に最多安打はマークしたが、打撃3部門の初戴冠へおごりはない。試合前にある数字についてこう言った。「打率・333でも凄いと思っていたけど、・350って凄い」。61年に長嶋茂雄(現終身名誉監督)がマークした右打者の球団最高打率・353。「この5厘くらいって、凄く大きな差に感じるな…」と言ったがまなざしには挑戦への光が宿った。現役晩年、代打の切り札だった高橋監督は「一振りで決めてくれましたね。そういうところで何かしてくれるのは力のある証拠」と、同一カード3連勝で、今季9勝1分けの甲子園不敗につなげた主将を称えた。

 「早く先発復帰できるように治療してやっていきたい」。9日のヤクルト戦で勝ち、10日からの本拠での広島2連戦も勝ち続ければ、胴上げは先送り。どんな役回りでも、憎らしいヒーローを演じ切る。 (春川 英樹)

 ≪甲子園今季5発≫坂本(巨)が代打逆転3ラン。自身本塁打は通算148本目だが、代打本塁打は入団以来初めてだ。また代打での決勝打は07年9月6日中日戦の延長12回にプロ初安打となる2点適時安打を放って以来9年ぶり2度目になる。なお、坂本は今季甲子園でビジターながら5ホーマー。同球場での本数としてはゴメス(神)の9本に次いで多い。

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2016年9月9日のニュース