ヤクルト山田の「愛され力」 ルーツは母の“褒め育て” 最高の環境で才能爆発

[ 2016年9月8日 16:17 ]

9月6日のDeNA戦で今季30盗塁目を決た山田

 ヤクルトの山田哲人内野手(24)が6日のDeNA戦(横浜)で今季30盗塁目を決め、3割30本30盗塁の「トリプルスリー」を手中に収めた。

 昨年自身初めて達成した「トリプルスリー」。2度達成した人は過去にいないが、この大記録を2年連続で成し遂げてしまったのだから凄い。今季からミスタースワローズの象徴でもある背番号「1」を背負い、プロ6年目ながら今や押しも押されぬプロ野球界のスーパースターになった。

 14年シーズン前に掲げた目標は「スタメン奪取」だった男が、短期間で凄まじい勢いで成長していった。一方で、山田は全く変わらない。いつもニコニコしていて、素直。私たちの質問にも、いつもしっかりと答えてくれる。打てなかった試合後も、朝早く眠いときも…。好成績を残しても鼻につくような態度とは無縁で、チームメートから可愛がられる。優しいお兄ちゃん肌の先輩たちに囲まれて、チームのちょっとやんちゃな弟分だ。たまに取る生意気な態度も憎めない。だから山田を見ていると誰からも好かれる「愛され力」が備わっているように感じる。

 昨オフ、ゴルフコンペに行くために川端、中村、山田が1台の車に相乗りすることになった。じゃんけんで運転を免れた山田は早朝、迎えに来てもらった先輩の車に乗り込むなり「おはようございまーす、おやすみなさーい」と後部座席で横になったという。「あいつは!てゆうか普通、後輩が“運転します”って言うでしょ」と言いながらも「可愛いやつなんですよ」と、優しい先輩2人は口を揃えていた。

 「甘えん坊だった」と息子の幼少期を振り返る山田の母・則子さんは「“褒め育て”という考え方でやってきたつもりです」とルーツを明かしてくれた。そして「ヤクルトでいろいろな人に恵まれて、活躍できるようになったのも人に恵まれたから。引き出してもらって、伸び伸びとやらせてもらって、甘えさせてもらっている思います」と言っていた。本人の努力があったのはもちろんだが、最高の環境で、その才能が爆発したのかも知れない。

 抜群の野球センスとたゆまぬ努力、そして「愛され力」を身につけた人間性。山田哲人はまだまだ、プロ野球界に数々の記録を刻んでくれそうだ。(町田 利衣)

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2016年9月8日のニュース