巨人・脇谷「迷惑かけっぱなし」高橋監督へ…恩返しサヨナラ弾!

[ 2016年8月24日 05:35 ]

<巨・広>延長10回無死、脇谷(中)はサヨナラ本塁打を打ちナインの手荒い出迎えを受ける

セ・リーグ 巨人1―0広島

(8月23日 東京D)
 我を忘れた。一塁手前、打球が右翼席に突き刺さる。巨人・脇谷は両手で天を突き、両足で跳んだ。本塁手前。ヘルメットを高く放り、歓喜の輪に突っ込んだ。「奇跡!最高に気持ちいいです。ビックリしました。覚えていないです。奇跡です」。

 引き分けでも広島にマジックが点灯する直接対決初戦。0―0の延長10回だった。途中出場の脇谷が初打席に立った。追い込まれながら外角高めの152キロ直球を強く引っ張った。打球は弾丸ライナーで右翼席へ。今季西武から巨人に復帰して1号が自身初のサヨナラ弾。「毎日毎日悔しい思いをしている。何とかしたかったけど、結果が出なくて苦しかった」と感傷的にもなった。

 忘れられない恩がある。巨人へFA移籍した片岡の人的補償で14年、西武へ移籍。プロ2年目のオフから沖縄自主トレに同行した当時現役の高橋監督からは「どこのチームに行ってもやることは変わらない。おまえなら大丈夫」と声をかけられた。移籍2年目の昨季は外野も守ってレギュラー確保。9月に右足首を骨折も5年ぶりに100試合以上に出場した。松葉づえをつきながらも昨年11月にFAでの古巣復帰を決断した。

 今季は右足首のリハビリもあり、初昇格は4月末。不振で2軍落ちも経験した。打率はまだ・170。「迷惑かけっぱなしで、監督の顔を正面から見られないときもある」が本音だ。神宮などビジターでの試合前は、若手に交じりジャイアンツ球場で打ち込んでから敵地に向かう。そんな伏兵が球団23年ぶりの1―0でのサヨナラ弾。高橋監督は「期待はね、何とかしてくれればいいなというくらい」と話し報道陣の笑いを誘い、「いろんなことをやってくれますね」と目を細めた。

 脇谷は阪神との13ゲーム差を大逆転優勝した08年の経験もある。「劣勢の試合でもベンチの逆転できるという姿は似ていると思う」。最後には2度「奇跡!」と声を上げた。(神田 佑)

続きを表示

この記事のフォト

2016年8月24日のニュース