ハム大谷 右手1本で超一流V打「いいところで打てた」

[ 2016年8月24日 05:30 ]

<ロ・日>初回1死二塁、先制適時打を放つ大谷

パ・リーグ 日本ハム4―1ロッテ

(8月23日 QVCマリン)
 パ・リーグは23日、首位のソフトバンクが敗れて、2位の日本ハムが勝ったために、1位と2位のゲーム差が「マイナス0・5」となる18日以来今季2度目の珍現象が起きた。日本ハムは、大谷翔平投手(22)が初回に技ありの先制右前打。これが決勝打となり、大谷は8月6本目の殊勲打となった。一方のソフトバンクは守護神のデニス・サファテ投手(35)が負傷するなど暗雲が垂れ込める敗戦で、日本ハムに勝率1厘差に迫られた。

 簡単にはまねできない極上の打撃だった。初回1死二塁。大谷が懐をえぐるような140キロの高速スライダーをはじき返した。

 「先頭の遥輝さん(西川)が内野安打でしっかりと出塁して、2番の拳士さん(杉谷)がバントでつないでくれたのが大きかった。いいところで打てたので良かった」。

 一、二塁間を破る先制の右前打。大谷が「打った瞬間に抜けると分かった」と振り返るほど、火を噴くような球足の速さだった。20日のソフトバンク戦(札幌ドーム)から3試合連続で二刀流のバットが先制点を叩き出している。

 それにしても驚くべきバットコントロールだ。この打席の大谷に対し、スタンリッジは2ボール1ストライクから1球だけ外角カーブを挟んだが、あとは全て内角球で攻めた。そしてフルカウントからの6球目も厳しいスライダーだった。

 しかし、大谷はこれを巧みにはじき返した。長いリーチを器用に折りたたんで、両肘を体につけながらクルリと回る。それだけではさばけないと瞬時に判断すると、今度は左手を離して右手一本でスイングした。右肘をフォロースルーで伸ばすのではなく、曲げたまま背中の方へ抜く。難度は最上級の技術といえた。

 そんな超一流の技で決勝打を放ちながら、大谷は「基本的にはしっかり振って長打を打ちたい。本当はあんまりやりたくないが、走者が二塁にいたので仕方なかった」と言ってのける。並の打者なら凡打で終わっていただろう球を打たれたスタンリッジは「大谷には思った投球ができた。あと10回投げれば、10回ゴロでアウトに取れるところに投げられた」と脱帽するしかなかった。

 首位・ソフトバンクを貯金の数では上回り、再びマイナス0・5ゲーム差に迫ったが、栗山監督は「どんなに流れが悪くても勝つために目いっぱい行く」と一戦必勝の姿勢を崩さない。投手復帰のタイミングを探っている大谷はこの日の試合前にブルペンで50球を投げたが、24日も打者で出場する。そのバットが火を噴けば、今季初の首位に躍り出る可能性は高まる。(横市 勇)

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2016年8月24日のニュース