呉昇桓 17球連続“石直球”でセ単独トップ12S

[ 2014年5月25日 07:34 ]

<ソ・神>9回から登板した呉昇桓

交流戦 阪神4―3ソフトバンク

(5月24日 ヤフオクD)
 阪神・呉昇桓の表情が一瞬、崩れた。1点リードの9回、先頭の長谷川に右前打を許して迎えた、李大浩(イデホ)との激突。カットボールで見逃しストライク、2球続けて直球が外角に外れてからの4球目。外角へのカットボールにギリギリ、バットが届いてしまった。打球は左前へ。無死一、二塁とされ、端正なマスクがゆがんだのだ。

 「打撃がいいし、マウンドではしっかり投げようと。きのう(23日)も本塁打を打っているし、コンディションもいい。長打だけは打たれないように気をつけた」

 言葉の節々に、強烈なプライドがにじみ出る。単打ならオッケー。1点を守り切ればそれでいい―。気持ちを切り替えた「石仏」は、松田を二飛、柳田を二ゴロ、最後は2死一、三塁から本多を中飛に斬った。中央に広がる歓喜の輪で、セ・リーグ単独トップ12セーブ目の喜びを堪能した。

 「(2連打は)ともに変化球を打たれた。だから真っすぐでいこうと。一人一人、アウトにすることだけを考えた」

 松田には5球中3球目のカットボール以外、すべて直球。そして柳田の8球、本多の7球はすべて直球―。実に17球連続の直球だ。鶴岡のサインに首を振ってまで貫いた「石の意思」で、鷹に反撃を許さなかった。

 今回の「韓国の投打スター対決」に合わせ、母国からも大勢の報道陣が押しかけている。2人とも試合前練習が終わると、すぐさま双方のベンチ前で取材が発生。周囲は過熱する一方だが、守護神は意に介さない。「リードを守り抜く」という最優先の目的は成し遂げた。甲子園、そして秋に待つであろう大砲との再戦を心待ちにし、呉昇桓は帰阪の途に就いた。 

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2014年5月25日のニュース