能見 タカ退治で11球団制覇!球団初の虎一筋での達成

[ 2014年5月25日 05:30 ]

<ソ・神>勝ち投手の能見は鶴岡(右)らナインを笑顔で出迎える

交流戦 阪神4―3ソフトバンク

(5月24日 ヤフオクD)
 猛虎のエースが、意地の鷹狩りだ! 阪神・能見篤史投手(34)が24日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に先発し、5勝目を挙げた。6回7安打3失点と本調子ではなかったものの、自己最多タイとなる13奪三振の力投に勝利への執念が垣間見えた。ソフトバンクの本拠地連勝を10でストップした左腕は、阪神以外の全11球団からの勝利を記録。タテジマだけでの達成は球団初の快挙となった。

 決して本調子ではなかった。それでも、猛虎のエースは、思いきり腕を振り続けた。常に完投を狙う男にとっては、心の底から喜べる勝利ではないかもしれない。とはいえ、チームにとっては大きな1勝となった。

 「三振でしかアウトが取れなかったから、苦しかった。相手打者は(ボールが)見えたら振ってくる感じだったから、裏をかくとか、そういうのもなかった」

 パ・リーグトップのチーム打率を誇る、強力打線。そんなソフトバンク相手に、小細工なしの真っ向勝負を挑んだ。切れ味鋭い140キロ前後の直球が主体。その直球が変化球を生かした。特にこの日は決め球としてフォークを多投。直球と同じ腕の振り、同じ軌道を描き、手元で鋭く落ちるボールに打者のバットは面白いように空を切った。自己最多タイとなる13奪三振。それを6回で奪ったのだから、圧巻のひと言に尽きる。そのうちの8個まではフォークが決め球だった。

 「リズムが悪く、野手の足を引っ張ってしまいました」。登板後は反省の弁が続いた。確かに1点リードの3回は、2四球と3安打で2点を失った。再び2点をリードした4回にも、3安打を集められて1点を失った。とはいえ、完全に崩れなかったことが、エースたるゆえんだろう。

 快挙も成し遂げた。対戦10試合目(先発6)でソフトバンクから初勝利をつかみ取った。これで自軍以外から白星を挙げる“11球団制覇”を完了。阪神一筋での達成は、能見が球団初となった。

 根っからの野球の虫、いや求道者だ。先発投手は通常、登板2日後がオフ。野球のことは少し忘れ、気分転換もしたいだろう。だが能見は違う。特に遠征先ではほとんどホテルから外出しない。テレビなどで次に自らが対戦するチームの試合をチェックしている。相手打線を研究し、次回登板に備えているのだ。陰の努力。それこそが、今の能見を作り上げた礎だ。

 和田監督も「能見はよくはなかったな。悪いなりに、最少失点で食い止めるような投球をしてくれた」と粘投を称えた。チームはオリックス、ソフトバンクという「パ2強」と戦った、敵地での交流戦開幕2カードを2勝2敗のタイで乗り切った。25日からは、本拠地・甲子園でロッテを迎え撃つ。エースの粘投を、浮上のきっかけにしてみせる。 

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