“マリンの五右衛門”石川 G斬って大見え切った「絶景かな」

[ 2014年5月25日 05:30 ]

<ロ・巨>間もなく販売になるオリジナルTシャツ姿で「5連勝」ポーズを決める石川(左)と角中

交流戦 ロッテ6―2巨人

(5月24日 QVCマリン)
 ロッテのドラフト1位ルーキー、石川歩投手(26)が24日、巨人戦に先発し、7回を4安打無失点と好投。菅野智之投手(24)との投げ合いを制し、今季4勝目をマークした。交流戦で巨人戦初登板で勝利投手になったのは12年6月の釜田(楽天)以来8人目。自らも5回にプロ初安打を放つなど「五右衛門」のニックネームで親しまれる右腕の独壇場となった。6―2で快勝したチームは交流戦負けなし4連勝で単独首位に立った。

 天下の巨人を翻弄(ほんろう)し、気持ちは高ぶった。お立ち台。大立ち回りで主役を演じた石川は「五右衛門Tシャツ」をまとうと、今季初の満員となる約3万人の前で見えを切ってみせた。「絶景です!」。戦国時代の大泥棒、石川五右衛門の名ゼリフをもじり、大歓声に応えた。

 QVCマリン特有の強風を味方につけた。「風がかなり気になった。球が抜ける感じ。こんなに強い風は初めて」。中堅や左翼方向から本塁に向かって吹く8~9メートルの風が、普段と違う変化を生み、巨人の重量打線に的を絞らせなかった。最速145キロの直球はシュート回転し、微妙な変化でバットの芯を外した。いつもよりブレーキがかかったカーブは、カウント球として有効利用した。

 一方で、宝刀のシンカーは狙い通りに低めに決まった。初回2死一塁で、セペダを外角低めの133キロのシンカーで空振り三振。21個のアウトのうち7個をシンカーで奪った。ブルペン入りした際、開幕からコンビを組んできた吉田から「シンカーは置きにいっていますよ」と指摘された。直球を同じようにしっかりと腕を振ることで風に負けない鋭い変化を取り戻した。

 打っては、5回無死二塁で決めたバスターがプロ初安打の内野安打となり、追加点をお膳立てした。7回を投げ終えた時点で94球。完封も可能なペースだったが、川越投手コーチから「いけるか?」と聞かれ、「いけますけど、疲れています」と即答し、先輩に託した。ロッテと巨人は昨年のドラフト会議で石川をともに1位指名して競合。同僚になっていたかもしれない菅野との対決に勝利し「自分の球を投げれば結果はついてくると思った」と笑った。

 チームは5連勝で、勝率は5割に復帰。交流戦に強いロッテは今年も健在で、伊東監督も「交流戦で弾みをつけたいと思っていたからね」と目を輝かせた。巨人には昨年から4連勝。それを実現させた石川の快投は、逃した魚は大きかったと思わせたに違いない。 

 ☆石川五右衛門 安土桃山時代の大泥棒。元は伊賀流忍者の抜け忍という説もあり、最近まで存在が疑問視されていたが、イエズス会宣教師の日記の記述を基に実在を確認。都市部を中心に荒らし回り、その悪事を嘆いた豊臣秀吉の命で処刑。釜ゆでされる際、「石川や 浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種は尽くまじ」と辞世の句を詠んだことで知られる。また、満開の桜をめでて発した「絶景かな絶景かな」は、現在でも歌舞伎や浄瑠璃の名ゼリフとして有名。

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