西武の育成助っ人アブさん 大暴れ4安打「うれしすぎ」

[ 2014年5月25日 05:30 ]

<西・ヤ>スタンドの声援に応えるアブレイユ(左)とメヒア

交流戦 西武12―8ヤクルト

(5月24日 西武D)
 交流戦4戦目にして初勝利。西武を救ったのは育成から22日に支配下登録され、前日1軍デビューしたばかりのアブレイユだ。陽気なドミニカ共和国出身の男は初めて立ったお立ち台で「うれしすぎて言葉が見つからない」と笑顔。さらに日本語で「ガンバリマス」と左拳を握った。

 初物尽くしのデモンストレーションだ。初回、中村の3ランで先制し、なお2死二塁の好機。ナーブソンの初球を左前適時打し、初安打で初打点を記録した。さらに二塁へ初盗塁を決めると続く炭谷の左前適時打でホームを踏んだ。4回には三塁打を放つなど、3適時打を含む5打数4安打3打点。チームの連敗を3で止め「夢かと思うくらいうれしい」と喜んだ。

 12年末の入団テストに合格し、球団と育成契約を結んだ。1年間2軍で過ごし昨年末に一度、支配下選手登録の話が持ち上がった。しかし首脳陣の出した答えは「持ち越し」。背水の思いで挑んだ2年目は「1軍に上がりたくて上がりたくて練習してきた」と連日泥まみれになり、チャンスをものに。新背番号は「72」も練習着は当時の「125」がプリントされたままだ。 

 明るい性格で「アブさん」のニックネームが浸透しつある。水島新司氏の人気野球漫画「あぶさん」は読んだことはない。それでも、主人公の景浦安武は「教えてもらったことがある」と愛着を持っている。景浦は酒を飲んで打席に立つほど酒豪で知られるが、「お酒は好きじゃないから飲まない」と笑わせる一面ものぞかせた。景浦は62歳まで現役を続けた。西武の「アブさん」は「野球の環境や、周りの人が好きなので少しでも長くプレーしたい」と恩返しを誓った。

 ◆アブナー・アブレイユ 1989年10月24日、ドミニカ共和国出身の24歳。07年にドラフト外でインディアンス入団、その後カブス、ブレーブスの各傘下マイナー球団でプレー。12年に西武の秋季キャンプで入団テストに合格し育成契約。13年は2軍で98試合に出場し打率.252、10本塁打、52打点。1メートル90、85キロ。右投げ右打ち。

 ▼西武伊原監督「あぶさん」(の景浦安武のよう)になってほしい。遠い国から来て、育成で苦労して、物凄い思いがあると思う。

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