「そこまでやる野球選手は後にも先にもイチローだけ」

[ 2009年9月14日 10:54 ]

レンジャーズ戦の第2試合の2回、史上初の9年連続200安打となる遊撃への適時内野安打を放ち、観客の声援に応えるマリナーズのイチロー

イチロー“らしく”9年連続200安打達成

イチロー“波瀾万丈”の年に大記録

イチロー 狙ってなけりゃあり得ない内野安打

長嶋さんも歓喜!「イチロー君なればこそ」

王会長「時間の問題と思っていたから」

 イチローは誰よりも感覚を大事にする野球選手だ。思い通り体を動かせている感覚を維持することが、精密機械のような打撃を生む。パワーに頼らないイチローにとり、感覚こそ生命線だ。
 一度手にした感覚を失わないように、体を動かし続ける。イチローは言う。「一日何もしないと全然(感覚が)違ってくる」。開幕前に胃潰瘍が発覚し、200安打目前には左ふくらはぎを痛めた。昨年まで8年間で計16試合しか休まなかったイチローが今年だけで同じ16試合を欠場した。
 それにもかかわらず、今季は、公式戦中の数少ない休日に球場やそれ以外の場所で体を動かした。本拠地、敵地、厳しい移動スケジュールは関係なかった。
 ランニング、キャッチボールにティー打撃など平均1時間弱。量をこなすことは目的ではなく、どれだけ感覚と素直に向き合えるか。今季は9年目で初めて「2試合連続無安打」がないまま目標の200安打に届いた。自分にしか分からない、繊細な感覚を大切にする姿勢が例年以上の安定につながっていた。
 ワカマツ監督がイチローの球場通いを知ったのは5月29日だった。前日は遠征先アナハイムでの完全休養日。「昨日の休みは何をしたんだい、と聞いたら『球場で体を動かした』という。最初は信じられなかったよ。そこまでやる野球選手は後にも先にもイチローだけじゃないか」。この時点で21試合連続安打、打率は3割4分3厘だった。
 当初はオーバーワークを心配し、半ば強制的に休ませようとした。しかし「無理に休ませると彼のメンタルに影響してしまうことになる」と考え直した。「彼は何が一番自分にいいかをよく分かってやっている。だからあれだけの結果を残してきた。イチローはこれからメジャーを目指す若者たちにとっての見本なんだ」
 監督は驚きと尊敬を隠さないが、イチローは「体を動かした方が気持ちいいからですよ」とさわやかに言う。達人の言葉から鍛錬の重々しさは伝わってこない。

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┃  =ルビ情報=

▽潰瘍(かいよう)

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(共同)

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2009年9月14日のニュース