【単独インタビュー】坂本花織 集大成3度目五輪へ「人生虹色」 分岐点は小2「スケートだけ続けられた」

[ 2026年1月31日 05:30 ]

競技人生の集大成を最後の五輪で見せる坂本花織
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 ミラノ・コルティナ五輪が、2月6日に開幕する。4年に1度の冬の祭典を100倍楽しむための特別連載がスタートする。第1回はフィギュアスケートの日本女子で初の3大会連続出場となる坂本花織(25=シスメックス)の単独インタビュー。今季限りでの引退を表明しており、今回が集大成の舞台。目標や競技生活の歩み、そして「虹色」と表現した人生などについて語った。(取材・構成 西海 康平)

 集大成と位置づける3度目の五輪が迫ってきた。18日に行われた結団式で旗手代行を務めた坂本は「あんな大役を経験できて楽しかった」と笑った。まだ心に余裕がある一方、本番が近づくにつれ、いつもの緊張が襲ってくることは分かっている。それでも、逃げることはしない。

 「五輪はもう本当に楽しみつつ、最後の最後まで自分と闘いたい。目標にしている団体と個人ともに銀メダル以上を実現させられるように、最後まで努力を惜しまずに頑張り続けたい」

 4歳から始めたスケート。小さい頃は水泳が週に5回、スケートが3回だった。小学2年の時、水泳で選手コースに進むか、スケートに重きを置くか決断を迫られる。振り返れば、人生の分岐点ともいえる状況。後者を選んだ訳は「めっちゃ簡単。息がしやすかったから」だった。

 「他に理由はなかった。その時、スケートはまだ楽しくやっていたけど、水泳は200メートルを泳いだり…。それが苦しすぎて。当時のノリで“スケートだったらいつでも息ができるから”と(笑い)」

 幼稚園の頃、放課後のダンス教室は「人に見られるのが嫌」でやめた。「何をするにも三日坊主だった」という坂本。ただ、スケートは練習が週6回になってもやめなかった。高校生の時、ふと我に返ったことがある。「そういえば花織、あと何年ぐらいスケートするんやろう」――。競技生活の終わりを初めて意識した。

 初出場した平昌五輪は団体で5位、個人で6位。2度目の北京五輪は団体で銀メダル、個人で銅メダルを獲得した。その大会後には「8年後はない。4年後に終わる」と現役のピリオドを決めた。昨春、振り付けの指導を受けるため、海外へと旅立つ前に、ずっと指導を受ける中野園子コーチとグレアム充子コーチに「話したいことがあるのでお時間いただけますか?」と持ちかけた。

 「来シーズンでいったん、区切りを付けようと思っています」。話し合いの場でそう打ち明けると、反対されることも驚かれることもなかった。「じゃあ残り、頑張ろっか」。掛けられたシンプルな言葉とともに最後のシーズンを歩んできた。

 昨年12月の全日本選手権。5連覇を飾ると「スケートだけはこんなにも長く続けられた。人生、虹色だなと思う」と語った。「バラ色」ではなく「虹色」という表現に込めた思いは――。

 「バラ色は、いいことしかない感じ。悲しいことやイライラすることもあるし、逃げ出したり、迷ったり…。いいことと同じぐらい、泣いたり、苦しんだりしてきた。一色じゃない。そういう意味での虹色です」

 4歳から25歳まで続けてきたスケートの競技人生。ミラノで新たな色を付け加える。

 ≪第二の人生は「数年後インストラクターに」≫坂本は現役引退後、フィギュアスケートのインストラクター(指導者)として第二の人生を歩み出す。将来のビジョンについて「実際にやめてみないと分からないことだらけ」とした上で「大まかなプラン」を明かした。「アイスショーにも最初は出るけど、数年したらインストラクター業に専念しようと思っていて。中野先生の下で教えて、中野先生が大事に育ててきた神戸クラブに自分も貢献したい」。培ってきた経験などを今後は後輩たちに還元する。

 ≪朝、昼、夕、夕「1日4食」で大舞台も万全≫「1日4食作戦」で五輪に臨む。坂本は昨年7月から栄養摂取に関して食品大手「味の素」のサポートを受けており、体重を意識するあまり、量が足りていなかった食生活を改善。コンディションを向上させるとともに、集大成の舞台に向けても準備を進めてきた。担当の高柴瑠衣さんが語る。

 「競技の時間が遅いことが多いので、演技前に夕食の1回目、演技後に2回目を取る。1回目と2回目を合わせて、普通の夕食より少し多いぐらいの量です」。朝、昼、夕、夕の食事法は今季のNHK杯やGPファイナル、全日本選手権で実践。五輪本番での流れもイメージできている。

 夕食の1回目は、主にエネルギー源となる炭水化物を取る。坂本の勝負メシは「白おにぎり」と「だし湯」。「“だし湯”は、ほんだしを湯に溶いただけだけど、彼女は“緊張しているときに飲むとホッとして自分を客観視できる”と」。本番でも一息ついてから勝負に挑む。

 ◇坂本 花織(さかもと・かおり)2000年(平12)4月9日生まれ、神戸市出身の25歳。2003年のNHK連続テレビ小説「てるてる家族」でヒロインの姉がフィギュアスケートをしているのを見て興味を持つ。21年から全日本選手権を5連覇、22年から世界選手権を3連覇。1メートル59。趣味はドライブ。

 ▼フィギュアスケート女子の展望 高い完成度の坂本、トリプルアクセルが武器の中井亜美、安定感が光る千葉百音と日本勢3人は複数メダルの期待もかかる。争うのは米国勢のアリサ・リュウとアンバー・グレン、中立選手として出場するロシアのアデリア・ペトロシャンら。リュウは昨季世界選手権女王で今季のGPファイナルも制した。グレンはトリプルアクセル、ペトロシャンは4回転ジャンプを持ち味とする。団体では北京五輪金の米国を日本が追う。

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