二所ノ関親方 求められるメリハリある指導 ノビノビプレー「今どき世代」が世界との距離縮めた
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【レジェンドの視点】若者の価値観が年々変化し、指導者とアスリートの関係にも変化が求められている。少子化も加速する中、希少な素材を世界に羽ばたかせるために必要なこととは。さまざまなスポーツに精通する本紙大相撲解説者の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が、指導者目線で日本のスポーツ界の現状を分析。今後の指導者の在り方について言及した。(構成・黒田 健司郎)
相撲部屋の師匠として4年目の夏を迎えました。指導者としてはまだ“新弟子”です。厳しい稽古環境で育ってきましたが、価値観の変化とともに柔軟な対応を求められていると感じています。
「今どきの若者は…」という言葉をよく耳にします。このご時世、諦めが早いというか淡泊というか、入社式翌日に退職する新入社員がいるそうです。好きな部分だけを聴く若年層の嗜好(しこう)を反映し、「前奏」がない曲も増えたとも聞きます。それでも「強くなりたい」「上手になりたい」という向上心は、昔も今も変わらないと思います。目先の結果や勝敗にとらわれず、長いスパンで指導強化することが、結局はトップアスリートへの最短距離。私が最も大事にしていることは「先を見据えた稽古、相撲」。常々、弟子たちに言い聞かせています。
昨春、学生相撲で素晴らしい実績を挙げた大の里が入門しました。プロ野球でいえばドラフト1巡目の逸材。中卒叩き上げの私には、未知の世界の人間です。正直、どう指導していくべきか頭を悩ませました。まずはアマチュアとプロの違いを認識させ「大事なのは最後にどこ(の地位)にいるか」を説きました。幸い、大の里はスピード出世し、今年5月には史上最速優勝を果たしました。現状に満足することなく、1分足らずの勝負の中で多くを学び、次に生かし続けた成果だと思っています。
先日、男子バレーボールの試合を見て、日本人アスリートが世界で活躍する理由が分かりました。トップレベルの舞台でも、全く物おじせず、ノビノビとプレーしていました。数年前なら大舞台で萎縮していた「お山の大将」が、世界最高峰で自信満々に腰を据えている。バレーボールに限らず、今の日本のアスリートは、海外の指導者ともミーティングなどで友達感覚で接している光景を拝見します。
「今どき」世代もたくましい限りです。夢や憧れだった舞台が現実のものとなり、野球やサッカーの選手がせきを切ったように海外の、それもトップステージに挑戦。さらには陸上女子やり投げの北口榛花選手のように、最高の練習環境を求め単身武者修行に出る時代。世界との距離は完全に縮まりました。
今後ますますスポーツの多様化が進行すると同時に、少子化という難題にもぶち当たります。花形の野球部でさえ連合チームが増加。中学の全国大会の規模縮小も深刻な問題です。“スポ根”は死語となり、教え子への歩み寄りが求められる中で、競技活性化のために指導者としてどうあるべきか。両者の間には一定の距離は必要ですが、常に厳しく接しているだけでは信頼関係は生まれません。厳しさと優しさの融合。メリハリのある付き合いが「今どき」の指導法のスタート地点になるのではないでしょうか。(元横綱・稀勢の里)
◇二所ノ関 寛(にしょのせき・ゆたか=本名・萩原寛)1986年(昭61)7月3日生まれ、茨城県牛久市出身の38歳。中学卒業後鳴戸部屋に入門し、2002年春場所初土俵。04年九州場所で史上2番目に若い18歳3カ月で新入幕を果たし、しこ名を「稀勢の里」に。大関昇進に7年を要したが17年初場所で初優勝し、場所後に第72代横綱に昇進。19年初場所中に現役引退。21年8月に独立し、同年12月に「二所ノ関」を襲名。今年夏場所で最速優勝を果たした大の里を育てた。引退後に早大大学院スポーツ科学研究科修了。NFL、ゴルフ、格闘技などにも精通。
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